30運動はどうして大切なの?
日本人の死亡に影響を及ぼす生活習慣の第1位は喫煙、第2位が高血圧、そして第3位は運動不足です。
運動不足になると心身にさまざまな問題が生じます。
毎日積極的に体を動かすことには健康効果がたくさんあります。
体を動かして
「元気にイキイキ」
体をあまり動かさない生活を続けていると、生活習慣病や高齢期の寝たきり・認知症などを招くおそれが高くなります。
「元気にイキイキ」実現のため、日々の生活の中で積極的に体を動かす習慣をつけましょう。
日本人の死亡に影響を及ぼす生活習慣の第1位は喫煙、第2位が高血圧、そして第3位は運動不足です。
運動不足になると心身にさまざまな問題が生じます。
毎日積極的に体を動かすことには健康効果がたくさんあります。
健康づくりのためにどれくらい体を動かせばいいのかを示したのが以下の表です。例えば成人なら「歩行などの活動を1日60分以上+息が弾み汗をかく程度以上の運動を週60分以上」が推奨されています。
対象者※1 | 身体活動※2(=生活活動※3+運動※4) | 座位行動※6 |
---|---|---|
高齢者 | 歩行又はそれと同等以上の(3メッツ以上の強度の) 身体活動を1日40分以上(1日約6,000歩以上) (=週15メッツ・時以上) 運動 有酸素運動・筋力トレーニング・バランス運動・柔軟運動など多要素な運動を週3日以上 【筋力トレーニング※5を週2~3日】 |
座りっぱなしの時間が長くなりすぎないように注意する (立位困難な人も、じっとしている時間が長くなりすぎないように少しでも身体を動かす) |
成人 | 歩行又はそれと同等以上の(3メッツ以上の強度の) 身体活動を1日60分以上(1日約8,000歩以上) (=週23メッツ・時以上) 運動 息が弾み汗をかく程度以上の (3メッツ以上の強度の) 運動を週60分以上 (=週4メッツ・時以上) 【筋力トレーニングを週2~3日】 |
|
こども (※身体を動かす時間 が少ないこどもが対象) |
(参考) ・中強度以上(3メッツ以上)の身体活動(主に有酸素性身体活動)を1日60分以上行う ・高強度の有酸素性身体活動や筋肉・骨を強化する身体活動を週3日以上行う ・身体を動かす時間の長短にかかわらず、座りっぱなしの時間を減らす。特に余暇のスクリーンタイム※7を減らす。 |
出典:厚生労働省「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023」(概要)
忙しい人やこれまで運動習慣がなかった人は、“運動”といわれると身構えてしまうかもしれません。まずは、「今より1日10分多く体を動かすこと+10(プラス・テン)」から始めましょう。
ウオーキングは気軽に始められ、体への負担も少ないおすすめの有酸素運動です。
生活習慣病予防のためには1日8,000~10,000歩が理想ですが、まずは1日1,500歩増やしてみましょう。これを続けていくと、食事の量を減らさずに1年で2~3.5kgの減量が期待できます。
高齢者や肥満の人の中には、ひざや腰などの関節が痛む人が少なくないようです。
こうした痛みがある人にもおすすめなのが、水中ウオーキングやサイクリングなどです。足腰や関節への負担が少ないので、無理なく取り組めるでしょう。
体を動かして筋肉を収縮させると、マイオカイン(myokine)という物質が分泌されます。この物質には脂肪や糖の分解を促進したり、炎症を防いだり、うつ病や認知症を予防したりと心身にさまざまな健康効果があることがわかってきました。
マイオカインの分泌を促すためには、筋肉量の多い下半身の運動が効果的です。
筋力をつけると太りにくい体になり、さまざまな生活習慣病の予防にもつながります。筋力は年齢とともに落ちていきますから、意識して鍛えることが大切。でも、きついトレーニングをする必要はありません。 おすすめは、毎日の生活の中で、何かをしながらちょっと体を動かす「ながら体操」です。
両手と両足をより遠くに引っ張るように伸びてみましょう。
とくに腰と背中が伸びていることを意識しましょう。
伸ばすときに、息をゆっくりと吐き出します。
片手に鞄などの荷物を持ち、伸ばした腕を曲げていきます。
鞄を下ろすときは、ゆっくりと行うように意識しましょう。
大股で階段を一段飛ばしながら上ります。
バランスを取るのが難しいときは、手すりにつかまりながら行いましょう。
頭のてっぺんが引っ張られるイメージでかかとを引き上げましょう。
腰が反らないようにお腹に力を入れましょう。
肩甲骨が動いていることを意識しましょう。
両手をイスの後ろで組み胸を広げるイメージで腕を後方へゆっくりと伸ばします。
あごを引き、肩をすくめないように気をつけましょう。
ももの内側の筋肉を意識しながら行いましょう。
※クッションがない場合は、ひざとひざを押しつけながら行うようにしましょう。
足を下ろすときもゆっくりと行いましょう。
刺激が強すぎる場合は、キッチン台に手を置いて体を支えたり、イスに座ったりして行いましょう。
かかとで床を押し、お尻を浮かしたときに腰を反り過ぎないようお腹に力を入れましょう。
上体を起こすとき、呼吸を止めないように気をつけましょう。
体を動かすことは大切ですが、事故やけがには十分気をつけましょう。その日の天候や体調、持病などに注意して、決して無理をしないこと。「きつい」と感じない程度の運動がちょうどよいのです。
体を運動に適した状態にするためにも準備体操を必ず行いましょう。準備体操や運動後の整理体操は、けがを予防する上でも重要な役割を果たします。
ひざを曲げてから、両手でひざを押さえるようにしてひざを伸ばします。
左手で足の甲をつかんでももを伸ばします。反対側も同じように行います。
両手を組み手首を回し、同時に片足をつま先立ちにして足首も回します。
後ろ側の足のひざを軽く曲げながら、かかとは床につけたまま腰をゆっくりと落とし、アキレス腱を伸ばします。
足をクロスさせて、上体を前に倒して手を伸ばします。足を組み替えて、反対側も同じように行います。
ロコモティブシンドローム(運動器症候群:通称ロコモ)とは、骨や関節、筋肉などの「運動器」が衰え、介護が必要になったり、そうなる危険が高い状態のこと。健康寿命を縮める大きな原因のひとつです。
ロコモは決して高齢者だけがかかる病気ではありません。体力の低下が始まる40歳代からの対策が大切です。
以下の項目に1つでも当てはまれば、ロコモの心配があります。
出典:日本整形外科学会
高齢期には「フレイル」にも注意が必要です。
骨や筋肉などの運動器は年齢に関係なく、適度な運動で刺激を与えることで、強く丈夫に保つことができます。体のほかの器官と違い、運動器は「鍛えがいのある器官」といえます。
ロコモ予防におすすめの運動を紹介します。ひざや腰に痛みがある人や持病がある人は、医師に相談してから始めましょう。
バランス感覚を鍛え、足を丈夫にする運動
目を開けた状態で、床につかない程度に片足をあげ、左右1分間ずつ、1日3回行います。
立つ・歩く・座る能力を総合的にアップする運動