禁煙をして
「元気にイキイキ」
日本人の病気や死亡につながる生活習慣の第1位がたばこです。たばこの害は喫煙者本人だけでなく、周囲の人の健康まで脅かしてしまいます。
あなたとあなたの大切な人たちが「元気にイキイキ」できるよう、ぜひ禁煙に取り組んでください。
47たばこはどうして体に悪いといわれるの?
喫煙はがん、糖尿病、循環器疾患(心臓病、脳卒中など)、呼吸器疾患(COPDなど)など、多くの病気を招くためです。女性の喫煙はさらにリスクが大きく、これらの病気に加えて周産期の異常(早産や死産、低出生体重児、乳児死亡など)や女性特有の病気を引き起こします。
そのほか、不眠や頭痛、食欲低下、口臭や肌荒れなど、日常のトラブルにも喫煙は大きく影響しています。
また、生活習慣病の大きなリスクとなることから、特定保健指導対象者決定の際の判定項目にも「喫煙」が含まれています。
48今より軽いたばこに変えれば健康効果がある?
喫煙者はニコチン依存の度合いに応じて必要な量のニコチンを吸収しようとするので、軽いたばこに変えるとかえって本数が増えたり深く吸ったりしてしまうことに。その結果、軽いたばこを吸っている方がかえって心筋梗塞や肺がんが増えるという研究報告もあります。
加熱式たばこも健康に悪影響を及ぼします
最近は、火を使わない「加熱式たばこ」を吸う人が増えています。加熱式たばこは、紙巻たばこよりも健康への悪影響が少ないと考える方もいらっしゃるかもしれません。しかし、日本呼吸器学会が発表した「加熱式タバコや電子タバコに関する見解と提言(改定2019-12-11)」では、以下のように述べられています。
- 見解
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- 加熱式タバコや電子タバコが産生するエアロゾルには有害成分が含まれており、健康への影響が不明のまま販売されていることは問題である。
- 加熱式タバコの喫煙者や電子タバコの使用者の呼気には有害成分が含まれており、喫煙者・使用者だけでなく、他者にも健康被害を起こす可能性が高い。
- 提言
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- 加熱式タバコや電子タバコが紙巻タバコよりも健康リスクが低いという証拠はなく、いかなる目的であってもその喫煙や使用は推奨されない。
- 加熱式タバコの喫煙や電子タバコの使用の際には紙巻タバコと同様な二次曝露対策が必要である。
現在、日本で販売されている加熱式たばこには、すべてニコチンが含まれています。紙巻きたばこを加熱式たばこに変えても、禁煙したことにはなりませんし、ニコチン依存は解消しません。
健康のためには、禁煙が第一であることを忘れずに。
49たばこがやめられないのは意志が弱いせい?
たばこに含まれるニコチンは、アルコールや麻薬と同じように依存症を起こす“薬物”。ニコチンの作用により、心理的にもたばこに頼る習慣ができてしまいます。
たばこがやめられないのは意志が弱いからではなく、このニコチン依存が原因なのです。
ニコチン依存のメカニズム
- ニコチンが血液によって脳に運ばれる
- ドーパミンと呼ばれる物質が大量に放出される
- 心地よさ・満足感・覚せい作用
- しかし!ニコチンの血中濃度はすぐに下がる
- イライラ感が強くなる・集中力が低下する
- またたばこを吸いたくなる
- イライラ感が消えた、頭がスッキリした、心地よいなどと感じる
- たばこはストレス解消に役立つ、自分にはたばこが必要だと思いこむ
50換気扇の下やベランダで吸っても家族に害があるって本当?
喫煙者のたばこの煙を吸わされる「受動喫煙」。喫煙者が吸い込む煙より、たばこの先端から出る煙に含まれる有害物質の方が濃度は高く、肺がんや虚血性心疾患、乳幼児の喘息や乳幼児突然死症候群などの原因となります。
親が室内と室外で喫煙した場合の子どもへの影響を調べた研究で、室外での喫煙でも子どもの尿からたばこの成分が検出されました。喫煙者の呼気や服などについた煙などが原因と考えられます。受動喫煙による健康被害は、たばこの煙をごく少量吸い込んだだけでも生じるのです。
51もう何十年もたばこを吸っているから、今さら禁煙しても遅い気が・・・
禁煙に取り組めば、その直後からリスクは低下し始め、食事がおいしく感じられる、肌の調子がよくなるなどの効果が現れます。禁煙に「遅い」はありません。
禁煙は始めればすぐ健康効果が現れる
1分 |
たばこのダメージから回復しようとする機能がはたらき始める。 |
20分 |
血圧は正常近くまで下降。脈拍も正常付近に戻る。 |
8時間 |
血液中の一酸化炭素レベルが正常域に戻り、血液中の酸素分圧が正常化。運動能力が改善する。 |
24時間 |
心臓発作の確率が減る。 |
48時間 |
匂いと味の感覚が復活し始める。 |
48~72時間 |
ニコチンが体内から完全に抜ける。 |
72時間 |
気管支の収縮がとれ、呼吸が楽になる。肺活量も復活し始める。 |
2~3週間 |
循環機能が改善。歩行が楽になり、肺活量は30%回復。 |
1~9か月 |
せきや静脈うっ血、全身倦怠感が改善される。 |
5年 |
肺がんになる確率が半分に減る。 |
10年 |
前がん状態の細胞が修復される。口腔や咽頭、食道、膀胱、腎臓、膵臓などのがんになる確率が減る。 |
出典:「American Lung Association」のパンフレット
52禁煙を続けるアイデアが知りたい!
禁煙を“続ける”のは、“始める”より少し険しい道のりです。乗り越えるアイデアはいろいろありますが、それでも難しいと感じた時は「禁煙マラソン」などでサポーターを見つけると心強いでしょう。
インターネット 禁煙マラソン
- どうしても吸いたくなったときは
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- 深呼吸をする
- 歯をみがく
- 体を動かす
- 場所を変える
- お茶や冷たい水を飲む
- 眠ってしまう
- 禁煙を続けるアイデア
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- たばこの害を思い出す
- 禁煙してよかったことを思い浮かべる
- 喫煙所など、煙の多い場所に近づかない
- 禁煙を続けている自分にごほうびをあげる
53最近よく聞く「禁煙外来」ってどんなところ?
「禁煙はつらいもの」「意志が弱くて禁煙なんて・・・」となかなか禁煙を始められない方にぜひ利用してほしいのが禁煙外来。禁煙のサポートを行う専門の医療機関で、自力で取り組むより成功率が高くなります。
また、ニコチンパッチやニコチンガムなどの禁煙補助薬も有効。医療の力を借りて、禁煙をスタートさせましょう。