54「酒は百薬の長」ではないの?
たしかにお酒には、血行を促進する、ストレスや緊張を和らげるなどの効用があります。
ただしこれはあくまで“自分に合った飲酒量”を守っていればの話。お酒というと肝臓病を連想しますが、過度の飲酒は肥満や高血圧、心臓病、がんなどの生活習慣病を引き起こすおそれもあります。
また、飲みすぎは睡眠障害やうつ病を発症・悪化させたり、アルコール依存症に陥る危険もあり、注意が必要です。
飲みすぎに注意し
「元気にイキイキ」
お酒はたばこと違い、“自分に合った飲酒量”を守って飲めば悪いものではありません。問題になるのは“過度の”飲酒。お酒を楽しみながら「元気にイキイキ」するために、お酒について正しい知識を身につけておきましょう。
たしかにお酒には、血行を促進する、ストレスや緊張を和らげるなどの効用があります。
ただしこれはあくまで“自分に合った飲酒量”を守っていればの話。お酒というと肝臓病を連想しますが、過度の飲酒は肥満や高血圧、心臓病、がんなどの生活習慣病を引き起こすおそれもあります。
また、飲みすぎは睡眠障害やうつ病を発症・悪化させたり、アルコール依存症に陥る危険もあり、注意が必要です。
生活習慣病のリスクを高める純アルコール量は1日あたり男性40g以上、女性20g以上といわれていますが、年齢や性別、体質によってアルコールにより受ける影響が異なります。
自分に合った飲酒量を知って、あらかじめ量を決めて飲むなど、飲みすぎない工夫をしましょう。
お酒の種類 | ビール中瓶1本500mL | 日本酒1合弱160mL | ウイスキー・ブランデーダブル60mL | 焼酎(25度)0.6合100mL | ワイン2杯200mL |
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アルコール度数 | 5% | 15% | 40% | 25% | 12% |
純アルコール量 | 20g | 19g | 19g | 20g | 19g |
厚生労働省「健康に配慮した飲酒に関するガイドライン」より
日本人の約半数は、遺伝的に「全く飲めないタイプ」か、飲めても「弱いタイプ」。“お酒に強い人”の割合は、欧米などに比べて少ないことがわかっています。
お酒に強い人は悪酔いしにくいですが、その分多量飲酒になりやすいのが難点。お酒に弱い人よりもむしろ肝臓病やアルコール依存症を招く危険は大きいので注意しましょう。
お酒には利尿作用(排尿を促す働き)があります。お酒を飲むとトイレが近くなるのはこのためです。排出された水分を補わないと脱水状態に陥り、血栓ができて心筋梗塞などを起こすこともあるのです。
水分はアルコールを分解する過程でも使われますから、水分補給は悪酔いを防ぐためにも欠かせません。飲酒の合間にはこまめに水を飲むようにしましょう。
お酒で不安やゆううつな気分が和らいでも、それは一時的な効果で、酔いが覚めるとかえって気持ちの落ち込みがひどくなってしまいます。うつ病を招いたり、すでにうつ病がある場合は症状が悪化することもあるので注意しましょう。
また、アルコールは思考の幅を狭め、自暴自棄な結論を導いてしまう傾向があります。悩みを解決するためにお酒を飲むのは絶対にやめましょう。
お酒はそれ自体エネルギーがあるうえ、食欲を増す作用もあるため、つい食べすぎるなどエネルギーのとりすぎに陥りがちです。
おつまみには野菜や海藻など、低脂肪・低エネルギーのものを選びましょう。たんぱく質(大豆食品や魚の刺身など)、肝臓の働きを助けるビタミンB群(豚肉やウナギなど)も大切です。
なお、お酒を飲んだ後は塩分や糖分がほしくなりますが、“シメのラーメン”は肥満の元。ご注意を。
寝る前にお酒を飲むと、たしかに寝つきはよくなりますが、一方で眠りが浅くなります。そのため熟睡感が得られず、結果的に不眠を悪化させてしまうおそれがあります。
「お酒を飲まないと眠れない」状態が続く場合は睡眠障害が疑われます。かかりつけ医やメンタルクリニック、精神科などで相談してみましょう。
アルコール依存症は、長年にわたるお酒の飲みすぎが原因で起きる進行性の「病気」。お酒の量や飲み方を自分でコントロールできなくなり、「家庭や仕事、自分の健康などより、飲酒をはるかに優先させる状態」です。
次の項目に2つ以上当てはまる場合、あなたの飲酒の仕方には問題があると考えられます。専門医に相談しましょう。