難聴は、いまや高齢者だけの問題ではありません。イヤホンやヘッドホンの使い過ぎによる難聴が、若い世代を中心に増えています。音楽フェスや帰省に伴う長時間移動など、夏は大きな音にさらされたり、イヤホンを使ったりする機会が増える季節です。毎日の「ながら聴き」が、あなたの耳にダメージを与えているかもしれません。難聴の仕組みと予防法を知って、大切な耳を守りましょう。
若い世代で増えている「ヘッドホン難聴」とは?
イヤホンやヘッドホンの長時間にわたる使用や、コンサートやライブ会場などで大きな音にさらされる機会が増えています。こうした大きな音を長時間聞き続けることによって起こる難聴が、「音響性難聴」です。「ヘッドホン(イヤホン)難聴」とも呼ばれ、若い世代を中心とした健康課題として指摘されています。WHO(世界保健機関)は、世界で約11億人もの若者がヘッドホン難聴になるおそれがあるとして、注意を呼びかけています。
出典:吉野 智美,他「Make Listening Safe -Safe listeningに向けたWHOの取り組み」ITUジャーナル.2017;47(2)
若い世代(12~35歳)の約半数もの人が、スマートフォンや音楽プレーヤーなどを通じて、安全域を超えた音にさらされているともいわれています。
イヤホンやヘッドホンを使っている人は、一度設定を見直してみましょう!
耳へのダメージは「音量×時間」
花火大会やコンサートが終わった後、「耳鳴り」や「耳がこもった感じ」を経験した人もいるのではないでしょうか。これが、耳の細胞がダメージを受けたサインです。一時的なダメージであれば回復しますが、大きな音にさらされる時間が長くなると、元に戻らない難聴へと進行してしまいます。
このように、耳へのダメージの程度は音の大きさ(dB;デシベル)と時間によって決まります。イヤホンやヘッドホンを使うときの上限は、1週間あたり80dBで40時間(若年者(15〜34歳)の場合は75dBで40時間)が目安とされています。しかし、それ以外の時間でもわたしたちは大きな音にさらされる場面があります。特に、大きな音になるほど、1日あたりの許容時間は格段に短くなります。

音量が大きくなるほど、許容できる時間が大きく減っていくことがわかります。
特に、100dB以上の大きな音には注意が必要です!
ヘッドホン難聴のおもな症状
ヘッドホン難聴は、ゆっくりと進行し自覚しにくいのが特徴です。健康診断で指摘されるまで気付かないケースも少なくありません。以下のような耳の違和感がないか、会話がしづらく感じていないか、振り返ってみましょう。
難聴は、早い段階で対処することが大切です。
症状や違和感がある場合は、早めに耳鼻咽喉科を受診しましょう!
「ヘッドホン難聴」を防ぐ5つのポイント
一度発症してしまうと元に戻すことは難しいヘッドホン難聴は、予防が肝心です。日頃のちょっとした心がけや使い方次第で、耳への負担を減らすことができます。ヘッドホン難聴を予防する5つのポイントを生活に取り入れましょう。
| 1.イヤホンやヘッドホンの音量を、最大の60%以下にする 「周囲の会話が自然に聞こえる程度」がひとつの目安です |
| 2.1時間聴いたら、10分休む 長時間の視聴を減らし、1時間を目安に耳を休めましょう |
| 3.ノイズキャンセリング機能を活用する 騒がしい環境下で、無意識に音量を上げてしまうことを避けられます |
| 4.音量制限や通知アプリを活用する 音量の制限や、使用時間の通知機能があるスマートフォンアプリを活用しましょう |
| 5.コンサートやライブでは耳栓を利用する 音楽イベントなど大きな音に長時間さらされるイベントは、音楽用の耳栓を使って楽しみましょう |
イヤホンやヘッドホンを使った「ながら聴き」は、わたしたちの生活の一部になりつつあります。毎日の何気ない視聴が、耳のダメージを蓄積する原因になっているかもしれません。音楽イベントや花火大会など、大きな音にさらされやすい今こそ、イヤホンやヘッドホンの設定を振り返り、耳にやさしい使い方を身に付けましょう!
参考
・吉野 智美,他「Make Listening Safe -Safe listeningに向けたWHOの取り組み」ITUジャーナル.2017;47(2)
・WHO:Deafness and hearing loss: Safe listening
・厚生労働省 健康づくりサポートネット:ヘッドホン難聴(イヤホン難聴)について
・日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会:ヘッドホン・イヤホン難聴とは?
次回のテーマは「流行る前に備えよう! 秋からはじめるインフルエンザ対策」を予定しています
毎年冬に流行するインフルエンザ、「最近かかっていないから大丈夫」と思っていませんか? インフルエンザは、高齢者やこどもにとって重症化のリスクが高い感染症。「かからない」だけでなく「うつさない」ための対策も大切です。予防接種を受けてから抗体ができるまでには約2週間かかります。流行に万全に備えるために、秋からインフルエンザ対策をはじめましょう。