一般的に“太り過ぎ”は身体によくないといわれますが、かといって“痩せ過ぎ”にも問題はあります。太り過ぎと痩せ過ぎには、それぞれどのような問題、危険があるのでしょうか。今回は、年代別の健康リスクや、体重を減らしたい人・増やしたい人の生活習慣の改善ポイントなど、生涯を通じた体重管理の重要性について解説。今、目指すべきは太っても痩せてもいない、“健康体重”です!
今の健康状態を知ろう
まずは現在の自分の体格指数(BMI)を計算してみましょう。BMIはBody Mass Indexの略で、体重と身長から算出される肥満度を表す指数です。健康状態を知るための目安として用いられる国際的な指標で、栄養状態をみる目安としても利用できます。健康維持のためにも、日頃から自分のBMIを把握しておくことがおすすめです。
太り過ぎ、痩せ過ぎのリスクとは?
あなたのBMIは、肥満(太り過ぎ)、普通体重(適正)、低体重(痩せ過ぎ)のどれに該当しましたか? 太り過ぎは肥満症やメタボリックシンドロームを招き、心臓病や脳卒中、糖尿病などの生活習慣病の原因になります。また、痩せ過ぎも女性では骨量の減少や低出生体重児の出産リスクがあり、高齢者では要介護になる一歩手前の“フレイル”の状態に陥りやすくなります。適正の方は、その“健康体重”をこのまま維持していきましょう。
今の栄養状態を知ろう
先に計算したBMIは、現在の食事量をはかる目安にもなります。下表で、ご自身の年齢に該当する数値を参考に、判定してみましょう。
体重は、摂取エネルギーと消費エネルギー、つまり食事量と身体活動量のバランスのあらわれです。「少ない」「多い」と判定された方は、日々の食事と身体活動について振り返ってみてください。体重は、身体活動量に比較して食事量が少ないと減少し、食べ過ぎや飲み過ぎ、運動不足が重なると増加します。
年代にあわせた体重管理を
生涯を健康で過ごすには、年代ごとやライフステージの変化に応じた体重管理を行うことが大切です。厚生労働省が示している、加齢などによって生じるリスクを踏まえた年齢別の目標とするBMI範囲は、18~49歳では18.5~24.9、50~64歳では20.0~24.9、65歳以上では21.5~24.9です(下記参照)。
ここで注目すべきは、年齢が上がるにつれて下限の数値が上昇していることです。つまり、年齢を問わず全年代で気をつけるべき“太り過ぎ”に対し、“痩せ過ぎ”は年を経るにしたがって注意が必要になる、ということです。
年代ごとに気をつけるべき健康リスク
下表は各年代に多い健康リスクの傾向を示しています。60代までは生活習慣病のリスクとして太り過ぎに注意し、60代以降はフレイルのリスクとして痩せ過ぎに注意します。つまり、60代が“太り過ぎ・痩せ過ぎへの対策を見直す時期”といえます。
健康体重に近づくためのポイント
前述した通り、食事量と身体活動量のバランスのあらわれである体重は、食事と身体活動を工夫することで調整できます。体重を減らしたい人、増やしたい人はそれぞれの改善ポイントを参考に、できるところから始めてみましょう。
健康体重を目指すには、適切な食事と適度な身体活動が必須です。太り過ぎ、痩せ過ぎの方は特に、定期的に体重をはかることを習慣化しましょう。毎日はかることで体重の変化と生活習慣との因果関係に気づき、健康管理の意識も高まるはず。記録ノートやスマートフォンのアプリを活用するなどもよいでしょう。
一日三食バランスのよい食事をとり、日常生活の中でこまめに身体を動かすことを意識して、よりよい生活習慣を身につける。あなたの年代に応じた“健康体重”を目指しましょう。
<参考文献>
・東京法規出版:「はかるとわかる 健康体重のススメ」
・日本肥満学会「肥満度分類」
・厚生労働省:日本人の食事摂取基準(2020 年版)
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