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フレイル・ロコモ・サルコペニアの違いって何?

写真日々、健康に関する新しい言葉や概念が登場する昨今、「フレイル」や「ロコモ」「サルコペニア」といった言葉をご存じの方も多いのではないでしょうか。これらはいずれも高齢者の運動や健康に深くかかわる用語ですが、症状などには共通点も多く混同されがち。今回はこの3つの詳細および各チェック方法について、解説します。


超高齢社会における健康意識の向上

65歳以上の割合が人口の21%を超えた社会を「超高齢社会」といいますが、なんと日本は2007年から超高齢社会を迎えています。日本の総人口は、1億2,435万人(2023年10月時点)。そのうち65歳以上の人口は3,623万人で、総人口に占める割合は29.1%*にのぼります。
超高齢大国日本において、健康や老後への意識・関心が高いのは、長い人生をより健康に生きたいと願う人たちが増えていることのあらわれかもしれません。もはや市民権を得たともいえる「フレイル」「ロコモ」「サルコペニア」。それぞれの診断方法や予防対策を順にみていきましょう。
(*内閣府:令和6年版高齢社会白書(概要版))

フレイルとは?

医学用語である「frailtyフレイルティ(虚弱)」の日本語訳で、健康な状態と要介護状態の中間にあたる虚弱な状態のことをいいます。フレイルには身体的フレイル、精神的フレイル、社会的フレイルの3つの側面があり、それぞれが影響し合うため、どれか1つを改善すればよいというものでもありません。

フレイルの3つの側面

身体的フレイル 運動不足や栄養不足によって筋肉や骨、関節、内臓の機能が衰えること。運動器の障害で移動が困難になる(ロコモ)、筋肉が衰える(サルコペニア)が代表的な例。口腔機能の衰えであるオーラルフレイルも含まれる
精神的フレイル 認知機能の低下やうつ傾向などによって、精神的に衰えること。「趣味が楽しめなくなった」「毎日していたことがおっくう」などの変化も、精神的フレイルのはじまりである可能性もある
社会的フレイル 近所付き合いや友達付き合いをしなくなる、家に閉じこもりがちになるなど、社会とのつながりが希薄になること。人と会う機会が減ることで見た目を気にしなくなるなど、生活習慣の乱れにもつながる

フレイルはどう予防する?

身体を動かすこと、しっかり食べることはもちろんですが、「意識して人とのつながりをもつようにすること」が大切です。実はフレイル予防には「1日1回、外に出かけること」が非常に効果的。外出には、身体と心が動き、人と交流する機会も生まれ、いきいきした生活につながるという、身体的・精神的・社会的の3つの側面に働きかける効果があります。急に「人とつながりをもちましょう」と言われても困ってしまう方、まずは1日1回の外出からはじめてみましょう。

ロコモとは?

ロコモは「ロコモティブシンドローム」の略で、英語の「locomotionロコモーション(移動)」と「locomotiveロコモティブ(移動するための能力)」からつくられた言葉です。「運動器症候群」ともよばれ、加齢により運動器(骨や関節、筋肉など)に病気や障害が起こり、立つ・歩くなどの運動機能が低下して日常生活に支障の出る状態をいいます。 日本では、ロコモは高齢者だけでなく40代からのロコモ予備群が4,700万人*いると推定され、男性より筋力が弱く骨粗しょう症の影響を受けやすい女性に多いといわれています。
(*N Yoshimura, et al.: J Bone Miner Metab. 2009;27(5):620-628.)

主な運動器の病気・障害

骨粗しょう症、骨折
関節系 変形性関節症、変形性脊椎症せきついしょう脊柱管狭窄症せきちゅうかんきょうさくしょうなど
筋肉系 サルコペニア(加齢性筋肉減少症)
神経系  関節リウマチなどによる神経障害など

ロコモはどう予防する?

身体を動かして、骨・関節・筋肉などに適度な刺激を与えることが大切です。以下のロコトレ(ロコモーショントレーニング)で、効率的に筋力をアップしましょう。 また、高齢者は特に骨や筋肉のもととなるたんぱく質やカルシウム、ビタミンD、ビタミンKが不足しがちです。意識的にこれらの栄養素を摂るようにしましょう。

サルコペニアとは?

ギリシャ語の「sarcoサルコ(筋肉)」と「peniaペニア(喪失)」を組み合わせた造語で、「加齢性筋肉減少症」ともいわれます。「加齢によって筋肉量が減少し、筋力・身体機能が低下した状態のこと」をあらわします。 運動不足に加え、食事量の減少や栄養不足などで筋肉量が減るため、ますます運動量が減るという悪循環に陥ることで、サルコペニアはより進行します。 サルコペニアは、握力低下(男性26kg未満、女性18kg未満)や5回立ち上がりテスト(椅子から5回立ち上がる時間を測定)、骨格筋量などによって診断されますが、ふくらはぎの周囲を測る「指輪っかテスト」という簡単な方法で、自分でもチェックすることができます。

サルコペニアはどう予防する?

まずは、栄養をしっかり摂ることです。1日に体重1kgあたり1g以上のたんぱく質摂取は、サルコペニアの発症予防に効果があります。そして、運動などで筋肉に刺激を与えることも重要。加齢に伴って、筋肉はどんどん減っていきます。毎日積極的に身体を動かすことや筋トレを行うことで、立ったり座ったりなどの日常的な動作の改善や、転倒予防が期待できます。栄養摂取と運動は、いずれかではなく両方併用して行うと、より効果的です。

フレイル・ロコモ・サルコペニアの違い

似ているようで実は異なる、フレイル・ロコモ・サルコペニアの違いがおわかりになりましたか? 健康と病気の間のような状態である「フレイル」を招く要因の一つが、骨・関節・筋肉などの運動器に障害が起こる「ロコモ」であり、「ロコモ」の原因の一つが、高齢期特有の筋肉量の減少である「サルコペニア」、ということになります。 いずれにも共通した予防策が「食事対策」「運動対策」ですが、「少しでも早い段階から改善に取り組むこと」がやはり重要です。フレイルは「健康と要介護の中間の状態」であるため、早めに栄養不足・運動不足を改善すれば、再び健康な状態に戻れます。何より、その前段階であるロコモとサルコペニアを防げば、フレイルを予防することにつながります。

フレイル・ロコモ・サルコペニアや介護について心配な場合は、お近くの自治体の取り組みを利用しましょう。自治体の介護保険課や福祉課、介護課などで相談が可能です。また、地域包括支援センターは高齢者が住み慣れた自宅や地域で安心して生活できるよう、日常生活での様々なサポートを行う総合相談機関です。まずはお近くの地域包括支援センターに相談してみることがおすすめです。

参考資料
・厚生労働省:e-ヘルスネット.サルコペニア
・日本整形外科学会:ロコモONLINE
・厚生労働省:高齢者の筋肉減弱(サルコペニア)およびフレイル(虚弱)に関するデータ
・東京法規出版:「ロコモを防いで健康寿命を延ばそう」「からだとこころ、つながりのフレイルに注意しましょう」

次回のテーマは『頭痛との上手な付き合い方』を予定しています。
新生活によるストレス、朝晩の気温差、気圧の変動……春は、頭痛に注意が必要な季節です。
日本人の約4人に1人が悩まされているといわれていますが、病院を受診している人は意外と少なく、自分の頭痛のことをよく知らないまま過ごしている人も多いとされています。まずは、頭痛をきちんと知ることから正しい対策をはじめてみませんか?次回は、頭痛との上手な付き合い方についてご紹介します。
 
 
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