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冬こそ注意! ここがやっかいノロウイルス

写真冬のウイルス対策といえば、「風邪」や「インフルエンザ」を思い浮かべる方が多いのではないでしょうか。実は対策すべき対象の1つに加えていただきたいのが、「ノロウイルス」。1年間に発生する食中毒患者数の4割以上を占める、ウイルスから感染する食中毒です。意外にも、冬場に感染のピークを迎えます。
ノロウイルスの特徴や感染を防ぐための3つの対策など、この冬「かからない」「拡げない」ためのポイントをご紹介します。


そもそも食中毒って?

食中毒とは、食中毒を起こす原因となる細菌やウイルスのついた食べ物を食べることによって、下痢や腹痛、発熱、吐き気などの症状を起こすことをいいます。症状や症状のあらわれる時間は原因によって異なりますが、時には命にもかかわることのある、とても恐ろしいものです。
食中毒の原因は、細菌性、ウイルス性、自然毒(植物性・動物性)、化学物質性、寄生虫など様々で、中でも大多数を占めるのが「細菌性」と「ウイルス性」。ノロウイルスは、後者の「ウイルス性食中毒」に該当します。
 2023年の食中毒発生状況のうち、ノロウイルスによるものは1,021件中163件(16.0%)、総患者数は11,803名中5,502名(46.6%)*。ノロウイルスは1件あたりの患者数が多くなる傾向があるため、年間食中毒患者数の4割以上を占めています。
(*厚生労働省:ノロウイルスに関するQ&Aより)

ノロウイルスのここがやっかい!

例年11月~2月にかけての冬場は、ノロウイルスによる食中毒が多発します。なぜ冬場かというと、ノロウイルスは低温・乾燥した環境を好むから。そしてノロウイルスには「やっかいな特徴」が複数あります。感染しないためには、ノロウイルスが「どうやっかいか」を知っておくことが必要です。

●やっかい① 感染力が非常に強い

ウイルスの中でも特に小さいウイルスで、乾燥や熱に強いうえ自然環境下でも長期間生存が可能。体内にわずかな量が侵入するだけでも発症するおそれがあり、非常に強い感染力をもちます。

●やっかい② 感染ルートが複数ある

主な感染の種類は「経口感染」「接触感染」「飛沫感染」「塵埃(じんあい)感染」。よくある感染ルートは以下の3つです。

●やっかい③ 嘔吐や下痢など症状が激しい

感染から発症までの時間(潜伏期間)は24~48時間。嘔吐や腹痛、繰り返す下痢など症状が激しいのが特徴です。37~38℃の発熱や頭痛、筋肉痛を伴うこともありますが、通常は1~2日症状が続いた後で回復します。しかし高齢者や持病をもつ人、乳幼児などは、脱水症状を起こす、重症化するなどで命に危険が及ぶこともあるため注意が必要です。

●やっかい④ 繰り返し感染・発症する

様々なウイルスの型があり、過去にノロウイルスにかかったことがあっても再び感染・発症することがあります。

●やっかい⑤ 症状があらわれないことがある

ノロウイルスに感染しているにも関わらず、症状のあらわれない場合があります(不顕性感染)。症状がなくても感染はしているため、気づかぬうちに周囲にウイルスを拡散する危険があります。

●やっかい⑥ 予防接種や特効薬がない

ノロウイルスに有効な予防接種や特効薬は未だなく、インフルエンザや新型コロナウイルスとは異なりアルコールでの消毒効果はありません。

感染を防ぐための3つの対策

食中毒でありながら、感染後は人から人にうつって感染を拡げる危険もあるのがノロウイルス。次の対策3つを徹底することで、感染を防止し、感染拡大を防ぎましょう。

●対策1 → 手洗いを徹底!

  • 手洗いは手指に付着したノロウイルスを減らす最も効果的な方法です。
  • 食事の前やトイレの後、感染者の汚物処理などの後は、必ず手洗いを行いましょう。
  • ノロウイルスはアルコールによる殺菌効果は弱く、十分な手洗いや次亜塩素酸ナトリウムによる消毒が有効です。

●対策2 → 加熱処理でノロウイルスを殺菌・調理器具を消毒!

  • ノロウイルスは、特に二枚貝(カキ、アサリ、ハマグリ、ホタテ、赤貝、ホッキガイ)の内臓に蓄積します。二枚貝を食べるときは中心部までしっかり加熱しましょう。
  • 食品に付着したノロウイルスを死滅させるには、「中心温度85~90℃、90秒以上の加熱」が有効です。
  • 調理器具は洗剤などで十分に洗浄した後「熱湯(85℃以上)で1分以上加熱する」、あるいは「塩素消毒液*(塩素濃度200ppm)に浸す」で消毒しましょう。
    *塩素消毒液は、次亜塩素酸ナトリウムを水で薄めるなどでつくることができます。家庭用の次亜塩素酸ナトリウムを含む塩素系漂白剤でも代用可能です

●対策3 → 感染者の汚物は早めかつ確実に処理!

  • ノロウイルス感染者の嘔吐物や排泄物は、処理が適切に行われないと二次感染の原因となります。
  • ノロウイルスに感染し、回復した後も1週間~1か月程度は排泄物にウイルスが残ることがあります。
  • 感染拡大を防ぐためには、感染者の汚物の処理は「早めに」「確実に」行い、感染者は回復後のウイルス拡散防止に努めましょう。

除菌・清掃作業時の注意ポイント

使い捨てビニール手袋、エプロン、マスクなどの感染防止用品を着用
拭き取り用の布や紙、水の入ったバケツ、汚物を処理する際のビニール袋などを用意
除菌・清掃は汚れているところよりも広範囲を処理する
処理中、処理後しばらくは窓を開けて換気する
処理後は手洗いとうがいをしっかり行う

除菌・清掃作業時の注意ポイント

冬場に注意が必要なのは、風邪やインフルエンザだけではありません。「新型コロナウイルスと同時にノロウイルス感染」などということにならないよう、冬の感染対策、ノロウイルス対策をしっかりと行いましょう!

<参考文献>
・厚生労働省:感染性胃腸炎(特にノロウイルス)について
・厚生労働省:ノロウイルスに関するQ&A
・内閣府:政府広報オンライン.ノロウイルスに要注意!感染経路と予防方法は?
・東京法規出版:冬場に注意が必要な食中毒です! ノロウイルス感染症
・東京法規出版:ノロウイルスに気をつけて!

次回のテーマは『2月のお風呂を安全・快適に! ヒートショック対策』を予定しています。
2月は1年の中でも最も寒い時期。そんな時期こそ気をつけたいのがヒートショックです。暖かい部屋から寒い部屋など、急激に温度が変化した際に血圧や脈拍が大きく変動し、心臓や血管など身体に大きな負荷がかかることで起こります。実はヒートショックは高齢者だけでなく、持病のない健康な方など年齢を問わず誰にでも起こりうる可能性があります。そのメカニズムや引き起こされる病気や事故、具体的な予防策など、知って安心のヒートショック対策を解説します。
 
 
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