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お酒の“ほどほど”って、実際どのくらい?

写真やって来ました忘年会シーズン。あなたは日頃、どのくらいお酒を飲んでいますか? 昨今は、何を何杯飲んだかではなく、お酒に含まれる「純アルコール」の摂取量が重要とされています。厚生労働省が示す生活習慣病のリスクを高める純アルコール量はどのくらいか、純アルコール量と病気別発症リスクの関係、健康に配慮した飲み方など、飲酒にまつわる最新トピックをお届けします。


飲んだお酒はどうなるの?

お酒に含まれるアルコールは、身体の中でどのように代謝されていくのでしょうか?
アルコールが身体にとり込まれると、胃と小腸で吸収され、そのほとんどが肝臓で分解された後、尿や汗、呼気となって排出されます。なお、体格や肝臓の大きさ、アルコール分解酵素の型、食事の有無や飲み方などによって、その代謝能力は変わります。

あなたはお酒に強い? 弱い?

実は日本人の約半数は、遺伝的にアルコールを分解する酵素(アルデヒド脱水素酵素)の働きが弱い体質です。つまり、約半数の人がアルコールをまったく受けつけない「飲めない」タイプか、飲めても悪酔いや健康障害を起こしやすい「弱い」タイプ。酵素の働きが強い、いわゆる「飲める」タイプの人はそれゆえに多量飲酒につながりやすく、肝臓や脳に大きな負担をかけるリスクが高いともいえます。

“ほどほど”には個人差がある

さて、よく聞く「お酒はほどほどに」の「ほどほど」とは、どのくらいでしょう?
まず、お酒は「飲んだ量」ではなく、お酒に含まれる「純アルコール量」で把握しましょう。純アルコール量(g)は「飲んだ量(ml)×アルコール濃度(度数÷100)×0.8(アルコールの比重)」で算出することができます。厚生労働省が作成した「アルコールウォッチ」を使えば、総飲酒量(純アルコール量)とお酒の分解にかかる時間が簡単にわかります。
純アルコール量と分解時間チェックツール
「アルコールウォッチ」
従来から「節度ある適度な飲酒」として推奨されている純アルコール量は、“1日あたり男性20g、女性10g”です。しかしこれはあくまで目安であり、個々人の許容量を示したものではありません。
一方、厚生労働省が「健康日本21(第三次)」で示した「生活習慣病のリスクを高める純アルコール量」は、“1日あたり男性40g以上、女性20g以上”。もちろんこれも目安であり、これ以下であれば生活習慣病にならないということではありません。
年齢や性別、体質、健康状態によって、個人の純アルコールの許容量は異なります。つまり、「ほどほど」は「人それぞれ」。前述の“目安量”を参考に、飲酒の際はお酒の量だけでなく純アルコール量を意識するようにし、自分にとっての適切な飲酒量、純アルコール量を把握しておくことが大切です。

飲酒と病気との関係

不適切な飲酒が身体に悪影響を及ぼすことは、皆さんご承知の通り。厚生労働省が「健康に配慮した飲酒に関するガイドライン」で示した、「純アルコール量と病気の発症リスクとの関係」を見てみましょう。
「生活習慣病のリスクを高める量」である“男性40g、女性20g”以下であっても、発症リスクがあるとされる病気が多数です。やはり、飲酒量(純アルコール量)は少なければ少ないほど、病気の発症リスクを減らせる、と考えるべきでしょう。

健康に配慮した飲酒の仕方

飲酒量(純アルコール量)の他にも、飲酒の際に様々な配慮をすることで、飲酒によって生じる身体的リスクを減らすことができます。

①自身の飲酒状況を把握する

「SNAPPY-CAT」では、10項目ほどの質問に回答することによって現状把握や適切なアドバイスを受けることができます。
お酒の飲み方チェックツール「SNAPPY-CAT」

*:厚生労働科学研究(2013~2015年)「WHO世界戦略を踏まえたアルコールの有害使用対策に関する総合的研究」、AMED委託研究開発(2017~2019年)「アルコール依存症予防のための簡易介入プログラム開発と効果評価に関する研究」

②あらかじめ飲む量を決めて飲酒する

自分自身で飲む量を決めることで、過度な飲酒が避けられるなど飲酒行動の改善につながるといわれています。前述の「節度ある適度な飲酒」とされる“1日あたり男性20g、女性10g”も参考に、「自分で量を決めて飲む」ことが大切です。

③飲酒前、飲酒中に食事をとる

食事をとることで、血中のアルコール濃度が上がりにくくなります。また、お酒に酔いにくくする作用があるとされています。

④飲酒の合間に水を飲む

水や炭酸水を飲酒の合間に飲むことで、アルコールをゆっくり分解・吸収できるようになります。水などを混ぜてアルコール度数を低くする、少しずつ飲むなどでも効果があります。

⑤飲酒しない日を設ける

毎日飲酒を続けると、アルコール依存症の発症リスクが高まります。継続しての飲酒は避け、1週間のうち飲酒をしない日を設けるようにしましょう。

日頃の飲酒習慣を振り返り、アルコール・飲酒への関心と理解を深めましょう。あなたにとっての「ほどほど」の量を見つけ、年末年始は健康的な飲酒を心がけてください!

<参考文献>
・厚生労働省:e-ヘルスネット 飲酒
・厚生労働省:健康日本21(第三次)
・厚生労働省:健康に配慮した飲酒に関するガイドライン.2024
・東京法規出版:飲酒と健康生活ハンドブック
・東京法規出版:飲酒と健康マイルール!

次回のテーマは『冬こそ注意! ここが厄介ノロウイルス』を予定しています。
冬のウイルス対策といえば、「風邪」や「インフルエンザ」を思い浮かべる方が多いのではないでしょうか。実は対策すべき対象の1つに加えていただきたいのが、「ノロウイルス」。1年間に発生する食中毒患者数の4割以上を占める、ウイルスから感染する食中毒です。有効な予防接種や特効薬がなく、インフルエンザや新型コロナウイルスとは異なりアルコールでは除菌できない厄介者。低温・乾燥した環境を好むため、意外にも冬場に感染のピークを迎えます。その特徴や感染を防ぐための3つの対策など、この冬「かからない」「拡げない」ためのポイントをご紹介します。
 
 
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