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睡眠の借金、“睡眠負債”をかかえていませんか?

写真「朝なかなか起きられない」「通勤・通学途中の電車でうたた寝」「休日は寝だめ」というあなた。睡眠負債がたまっているかもしれません。睡眠負債とは、日々の睡眠不足が借金のように積み重なること。睡眠負債がたまり続けると、生活習慣病やうつ病などの健康リスクが高まるといわれています。なぜ睡眠不足がよくないのか、寝だめの是非、睡眠負債をなくすための12の指針など、快適な睡眠につながるヒントをご紹介します。


*睡眠負債とは?

睡眠負債は、英語のsleep debtの訳で、“睡眠の借金、債務、負債”という意味です。毎日の睡眠不足がまるで借金のようにじわじわと積み重なり、心身に支障をきたしている状態のことをいいます。単なる睡眠不足であれば翌日多めに眠るなど短期間で解消できるイメージですが、睡眠負債は何日にもわたって蓄積された持続的・慢性的な睡眠不足。恐ろしいのは、多くの人が睡眠負債をかかえているという自覚をもっていないことです。

*日本人の平均睡眠時間

そもそも人は、1日何時間の睡眠を必要とするのでしょうか? 実は適切な睡眠時間には個人差があります。年齢や活動量などによっても変わりますが、一般的には1日6時間半~7時間程度とされています。
しかし、厚生労働省の令和元年「国民健康・栄養調査」によると、睡眠時間が6時間未満の人は男性37.5%、女性40.6%と約4割にあたります。さらに年代別にみてみると、男性の30代47.6%、40代48.9%、50代49.4%、女性の40代46.4%、50代53.1%と、6時間未満の人は各年代のほぼ半数にものぼります。

*睡眠負債による影響

睡眠負債が蓄積すると、疲労回復が遅れる、血行や代謝の悪化から肥満につながる、意欲の低下、抑うつ状態になるなど、身体面・精神面のいずれにも悪影響を及ぼします。いま日常生活に支障がなくとも、いずれは糖尿病や心筋梗塞などの様々な生活習慣病の他、がんや認知症の発症への影響まで懸念される、深刻なリスクをはらんでいます。

*寝だめは是か非か?

平日の睡眠不足を、休日に長く寝る“寝だめ”で解消しようとする人は少なくありません。しかし、休日に寝だめをすると平日の就寝・起床時間とズレが生じて体内時計が狂う、いわゆる“時差ボケ”のような状態(ソーシャルジェットラグ:社会的時差ボケ)を引き起こします。ソーシャルジェットラグによる眠気や疲労感は、日中の活動に支障をきたすだけでなく、注意力や免疫力の低下、生活習慣病のリスク増加など、睡眠負債と同様の悪影響が考えられます。
とはいえ、寝だめによって一時的に身体や精神的な疲れがとれるというのも事実。2時間以上の寝だめが習慣になっている人は、逆に睡眠負債がたまっている証拠ともいえます。慢性的な睡眠不足であることを自覚し、改善していきましょう。

*睡眠負債を解消しよう

睡眠負債をなくせば、様々な生活習慣病になりにくくなるほか、疲れが残らなくなる、集中力や判断力が高まるなど、心身共に日常生活でのパフォーマンスの向上が期待されます。以下の「睡眠負債をなくすための12の指針」を参考に、よりよい睡眠のためにできることから取り入れてみましょう。

なお、眠りたいのに眠れないという人は、不眠の背景に何らかの病気が隠れている可能性もあります(睡眠時無呼吸症候群(激しいいびき)、レストレスレッグス症候群(脚のむずむず)、うつ病など)。不眠があるときは、かかりつけ医や睡眠外来、精神科、心療内科などの専門医に相談してください。
睡眠負債は自覚症状を感じにくいのが特徴でもあります。日中のパフォーマンスが悪くならない自分に適した睡眠時間が確保できているか、自身の生活を改めて見直してみてはいかがでしょうか。たかが睡眠不足とあなどるなかれ。そのツケは、あとから大きくのしかかってきます。いますぐ睡眠負債の完済を!

<参考文献>
・厚生労働省:令和元年 国民健康・栄養調査結果の概要
・厚生労働省:「睡眠障害の診断・治療ガイドライン作成とその実証的研究」平成13年研究報告書
・厚生労働省:健康づくりのための睡眠指針の改訂について(案).2023
・厚生労働省:良い目覚めは良い眠りから 知っているようで知らない睡眠のこと.2023
・東京法規出版:自覚がないから危険! 知らないうちに睡眠負債.2022

 
 
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