日差しの強い季節は日焼けが気になります。その日焼けの要因が紫外線です。今回は、紫外線による健康への影響や紫外線(日焼け)対策をご紹介します。
紫外線とはそもそも何なのか?
紫外線は、地表に届く光の中でもっとも波長が短いものです。私たちの目には見えませんが、太陽光(日射)の一部であり、基本的な性質は目に見える光(可視光線)と同じです。季節や時刻、天候により量は変化し、建物や衣類などでその大部分は遮断されています。
紫外線による健康への影響は?
多くの研究により、紫外線を浴びすぎると健康に影響が出ることが分かってきました。
※1 長時間紫外線にさらされることによって生じる眼の障害。眼痛、異物感、流涙などの症状が出る。
※2 体の中にできる細胞のかたまり。できた場所や大きさなどで症状は出ることはあるが、多くの場合、手術で完全にとりきることができれば再発することはない。
※3 表皮細胞の異常が起こり、がん細胞になる一歩手前の状態にあるもの。
※4 水晶体が濁り、物がかすんで見える、二重に見える、まぶしく感じるなどの症状が現れる。
※5 白目の組織が黒目の中央に向かって侵入する病気。目の充血や異物感などの症状が現れる。
皮膚には紫外線から身を守る仕組みが備わっています。最も強力な光線防御は皮膚にある色素細胞がつくるメラニン色素です。メラニン色素が多いほど肌の色は黒くなります。色白で、日光に当たると赤くなりやすく、黒くなりにくい人は、より徹底した紫外線対策が必要です。
紫外線を防ぐ対策は?
日焼けによる痛みなどはローション等で一時的に抑えられます。しかし、皮膚の老化や皮膚がんなどの長期的な予防効果は薄いとされています。紫外線による健康被害を防ぐ一番の対策は、紫外線を浴びすぎないことです。
①紫外線の強い時間帯は、外出を避ける。
正午前後、正確には各地区で太陽が最も高くなるときに紫外線が最も強くなります。気象庁では、日本全国の翌日の紫外線の強さを公表しています。紫外線情報を上手に利用しましょう。
*気象庁 紫外線情報▶気象庁| 紫外線情報(分布図) (jma.go.jp)
②日陰を利用する。できるだけ日陰を歩き、日陰で休憩をしましょう。ただし、直接日光のあたらない日陰であっても、地面や建物から反射した紫外線を避けることはできません。
③日傘を使う、帽子を被る。UV(ultra violet)カットの日傘を使用したり、帽子を着用したりすると、紫外線が当たるのを20%程度減らすことができます。また、幅の広いつばのある帽子はより大きな効果があります。
④衣服で覆う。体を覆う部分が多い衣服、目の詰まっている衣服が一番有効です。しかし、暑い時期には熱中症のリスクがありますので、無理のない範囲で着ていられるものを選びましょう。
⑤サングラスをかける。紫外線が眼に当たるのを最大で90%程度減らせます。サングラスを選ぶ際は、UVカットの表記がはっきりあるものを選びましょう。
⑥日焼け止めを上手に使う。衣類で覆えないところなどに使うのが効果的です。日焼け止めには様々な種類(液状、スプレー、シート等)があり、効果も異なります(一般的にSPF※1やPA※2の+表記が多いほど効果が高いとされています)。自分の状況に合っている、かつ、いつ、どのくらい、どのように使用したらよいか説明文をよく読み、確認して使用することが大切です。
※1 SPF(Sun Protection Factor)は、ほとんど大気層で吸収されるが、地表へ到着した一部が、皮膚や眼に有害であるUV-Bを防ぐ指標。 ※2 PA(Protection grade of UV-A)は、UV-Bより有害ではないが、長時間浴びた場合の健康影響が懸念されるUV-Aを防ぐ指標。
紫外線とビタミンDビタミンDはカルシウムの吸収に欠かせないビタミンですが、食物からだけでなく皮膚で生成されます。この生成に欠かせないのが、紫外線です。 ビタミンDが不足すると、食事でカルシウムを摂っていても十分吸収されず、カルシウム不足に陥ります。血液中のカルシウム濃度が低下すると、けいれんなどの大きな症状を起こすリスクがあるため、骨からカルシウムを溶かしだして供給するようになります。その結果、骨の強度が低下して曲がりやすくなり、くる病※3や骨軟化症※3といった病気を起こすようになります。
※3 骨を形成する過程で石灰化が上手くいかず、弱い骨が作られてしまう病気。子どもに生じたら「くる病」、大人で生じたら「骨軟化症」とよばれる。
紫外線にもメリットがあることを踏まえ、ほどよく日光を浴びつつ、日差しを強く感じる際は、きちんと日焼け、紫外線対策をしていきましょう!
<参考資料>環境省「紫外線環境保健マニュアル2020」
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