「季節の変わり目や天気が悪い日は体調が崩れやすい…」。これは「気のせい」や「心の問題」だけではなく、「気象病」や「天気痛」のせいかもしれません。今回は気象病、天気痛とは何かとその対策についてお伝えします。
◆気象病とは
日本は南北に長く、気候も北と南で異なりますが、おおむね3日に1度雨が降り※、夏の前には平均40~50日梅雨が続きます。梅雨の時期や天気が崩れる前後に、次のような症状が表れることを「気象病」と呼びます。その中でも痛みを伴う症状は「天気痛」と呼ばれています。
※総務省統計局「統計でみる都道府県のすがた2020」
【気象病の主な症状】 色の付いている症状が「天気痛」。
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・頭痛
・めまい
・首・肩こり
・腰痛
・気分の落ち込み
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・関節痛
・むくみ
・耳鳴り
・だるさ
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◆気象病の原因は?
上記の不調は、天気(気圧、気温、湿度)の変化が、耳の奥の内耳(回転や平衡感覚などを感知する場所)や自律神経に影響を与えることで生じると考えられ、誰の身にも起こりうる症状です。気圧、気温、湿度それぞれが引き起こす症状の特徴は、以下の通りです。
気象病タイプ |
症状の特徴 |
気圧 |
天気の崩れ(季節の変わり目、雨が降り出すとき、台風が接近したとき等)に症状が表れやすい。
めまい、倦怠感、眠気などが表れ、その後に頭痛などの痛みに襲われる。天気が回復に向かうときに体調を崩す人もいる。 |
気温 |
寒暖差によって症状が表れやすい。
暖かくなると症状が悪化するのが片頭痛※1、寒くなると悪化するのが肩こりや緊張型頭痛※2など。気分の浮き沈みに影響することも。 |
湿度 |
梅雨になると体調が悪くなる。
湿度が低いときより高い時に症状が出やすくなる。湿度の影響をもっとも受けやすいのが関節リウマチ※3といわれる。
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※1 片頭痛とは…脳の血管が急激に拡張して神経を刺激して起きるズキンズキンとした痛み。 ※2 緊張型頭痛とは…頭の周りにある筋肉が緊張して血行が悪くなることで起きるギューッと締めつけられるような痛み。 ※3 関節リウマチとは…手足や指に痛み、腫れ、こわばりが生じる自己免疫疾患。
◆気象病対策は、自律神経を整えること
自律神経とは、体調管理を自動で行う神経系のことです。身体をアクティブにさせる「交感神経」と身体をリラックスさせる「副交感神経」の2つがあります。自律神経は、天気の変化の影響を受けると乱れが生じます。天気は自分の力で変えることはできませんが、ストレスをため込まないようにするなど、自律神経が天気の影響を受けにくくなるように整えてあげることはできます。どうやったら自律神経を整えられるのか、そのポイントを4つご紹介します。
ポイント① 朝5分間だけでも日光を浴びる
朝の日光浴は体内時計のリズムをリセットするだけでなく、睡眠を促すホルモンを生成し、その晩の睡眠の質を上げ、身体の生活リズムを自然に整える効果があります。起きたらまずはカーテンを開けましょう。
ポイント② 朝食を抜かない
朝食は寝ている間に下がった体温を上げ、身体を目覚めさせます。さらに、自律神経を活性化させるホルモンをつくる腸の活動を活発にします。
ポイント③ 身体を動かす習慣をつくる
身体を動かすことで、リラックスさせる副交感神経からアクティブにさせる交感神経にスイッチしやすくなり、ストレスに対処しやすい心身をつくることにつながります。「ダラっとしがちかも」と感じる人は、まず、簡単なストレッチから始めて、徐々にウォーキングなどを取り入れてみましょう。
ポイント④ 布団に入ったらスマホは見ないよう心がける
スマホ、ゲーム、パソコンなどの画面から出る光(ブルーライト)は、刺激がとても強く、交感神経が刺激を受けて寝つきや睡眠の質を低下させます。「寝たはずなのに疲れが取れない・・・」といった状態にならないように、布団に入ったらスマホは触らないようにしましょう。できれば、就寝90分前にはスマホを触らないようにするのがオススメです※。
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◆気象病対策の症状を和らげるツボ
気象病のさまざまな症状をやわらげるツボをご紹介します。
ツボには左右差があり、ツボの位置も日によって少し変わります。左右押してみて、特に痛みや違和感のある方を重点的に優しく刺激しましょう。
厲兌(れいだ)
胃腸の働きを整える。むくみをとるツボ
〇ツボの場所
足の人差し指の外側、爪のわきあたりにある。
内関(ないかん)
めまいやふらつきの症状に効くツボ
〇ツボの場所
手の内側、手首の付け根からひじ方向に指3本分離れたところ。握りこぶしをつくった時に手首に出る2本の腱と腱の間にある。
※押してみて強い痛みを感じる場合は、無理をしないようにしてください。
◆薬の使用や医療機関受診の際に知っておきたいこと
その① 天気と症状の関係を“見える化”しておく
症状の出るタイミングを知ることは大切です。医療機関等へ相談する際にも、相談がスムーズになるので、「自分の症状・痛み日誌」を簡単につけて傾向を知りましょう。
その② 鎮痛薬はあくまでも「応急処置」
痛みなどの症状が出る前から鎮痛薬を飲むのは控えましょう。薬剤の使用過多による頭痛などを引き起こすリスクがあります。適切な薬を効果的なタイミングで飲むことが大切です。その際にも「痛み日誌」はとても役立ちます。
「今までの症状は気象病だったのか!」と気づいた人もいるのではないでしょうか。気象病とその対策を知り、天気の変化で体調を崩さない心身をつくっていきましょう!
<参考資料> 「天気が悪いと調子が悪い」を自分で治す本 佐藤純 アスコム社 はたらく人の自律神経系ケア 東京法規出版
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