帯状疱疹は、人によっては激しい痛みを伴い、発疹がおさまった後も神経痛や顔面麻痺などの後遺症が残ることも少なくありません。今回は帯状疱疹とその対策について紹介します。
■多くの人がかかる可能性が高い帯状疱疹
帯状疱疹とは、過去にかかった水ぼうそう(水痘)の原因である「水痘・帯状疱疹ウイルス」が引き起こす皮膚の疾患です。水ぼうそうが治った後もウイルスは体内(神経節)に潜伏しています。加齢や疲労、ストレス、がんや糖尿病などの病気によって免疫力が低下すると、このウイルスが再活性化して、帯状疱疹を引き起こします。人から人へ感染するものではありません。
50歳以降になると患者が急増します。80歳までに3人に1人の割合で発症するといわれ、高齢化により患者数は増加傾向にあります。ただし、若いからといって油断は禁物です。免疫力が下がれば誰でも発症する可能性があり、注意が必要です。
■帯状疱疹の症状は?
はじめはチクチクした痛み、かゆみが数日から1週間続き、やがて体の左右のどちらかの神経に沿って痛みを伴う発疹が帯状に出ます。次第に水疱になり、6~8日でびらん(ただれ)あるいは潰瘍になります。約2週間でかさぶたに変わり、約3週間でかさぶたが取れて治ります。神経の損傷による「帯状疱疹後神経痛(PHN)」と呼ばれる後遺症が起きたり、顔にできた帯状疱疹が重症化すると視力低下、顔面麻痺などの合併症が起こったりする危険があるため、早期に治療を開始することが大切になります。
■発症から3日以内の服用開始がポイント
帯状疱疹は発疹が出て3日以内に抗ウイルス薬の服用を開始するのがポイントです。早期に治療が始められれば、発疹が出てから7~10日程で症状が消え、後遺症・合併症も防ぐことができます。一方、治療が遅れると後遺症が残ってしまう危険が高まります。帯状疱疹かもしれないと思ったら、すぐに皮膚科や内科などの医療機関を受診しましょう。週末に気づいた場合も放置せず、土日も診療している医療機関や救急外来などを受診します。
■帯状疱疹を防ぐ2つのポイント
ポイント1:免疫力を高める生活を!
帯状疱疹を予防するためには、水痘・帯状疱疹ウイルスが再活動しないよう、免疫力を高める生活が大切です。以下の4点を心がけましょう。
① 栄養バランスの整った食事をとる
1日3食、規則正しく食べ、栄養バランスのよい献立を心掛けましょう。「主食」「主菜」「副菜」をそろえると、自然に栄養バランスが整います。
参考:まもるくんパーク「食生活」
② 疲れているときは休息をとり、睡眠時間は必ず確保する
忙しいときこそ、意識して充分な休息をとりましょう。
参考:まもるくんパーク「睡眠」
③ 体を動かす習慣をつける
適度な運動は免疫力をアップします。今より1日10分多く体を動かしてみましょう。
参考:まもるくんパーク「身体活動」
④ ストレスはためずに解消する
ストレスを持ち越すと、心身が疲労し、免疫力が低下します。軽い運動をする、趣味に熱中するなど、自分が楽しいと思えることに没頭して気持ちをリセットし、ストレスを解消しましょう。
参考:まもるくんパーク「心の健康」
ポイント2:50歳以上になったら、帯状疱疹ワクチンを検討しましょう
50歳以上の方を対象にした帯状疱疹ワクチンがあります。ワクチンを接種することで発症率を低減させ、重症化を予防することもできます。帯状疱疹ワクチンは任意の予防接種のため、接種費用は医療機関ごとに定められており全額自己負担となります(費用助成がある自治体もあります)。皮膚科や内科で接種できますが、ワクチン接種を行っているかどうか事前に確認してから受診しましょう。
ワクチンの種類 |
生ワクチン |
不活化ワクチン |
接種回数 |
1回 |
2回(1回目接種後2か月以上~6か月以内に2回目を接種) |
発症予防効果 |
69.8%(50~59歳)、 51.3%(60歳以上)※1 |
97%(50歳以上)、 91%(70歳以上)※2(※) |
副反応 |
注射部位の紅斑、かゆみ、熱感、腫脹、疼痛、倦怠感、発疹など |
注射部位の疼痛、発赤、腫脹、など |
費用 |
1回約4,000~6,000円(施設により異なる)
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1回約18,000~25,000円(施設により異なる)
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接種の対象は50歳以上 |
※1 接種後約3年間 ※2 接種後約4年間
国立感染症研究所「帯状疱疹ワクチン ファクトシート」(平成29(2017)年2月10日)、「ビケン」、「シングリックス」添付文書を元に作成。 (※)グラクソスミスクライン2022年10月19日プレスリリース日本語抄訳より
日頃から免疫力を保つ生活を心がけ、さらにワクチンを積極的に活用する二段構えで、帯状疱疹を寄せ付けないようにしましょう。
<参考資料> (公社)日本皮膚科学会ホームページ「皮膚科Q&A」
(一社)日本ワクチン産業協会「予防接種に関するQ&A」
(一社)日本プライマリ・ケア連合学会「こどもと大人のワクチンサイト」
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