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心臓病、脳卒中のリスクが! 食後高脂血症”

写真食後に中性脂肪の値が高くなるという食後高脂血症が、今、動脈硬化の新たなリスクとして注目されています。しかし、空腹状態の値をみる一般的な健診では見つかりにくいので、注意が必要です。


■脂質異常症の診断基準に追加された「食後高脂血症」

脂質異常症は治療せずにいると血管の内側に脂質がこびりついてしまい、動脈硬化を進行させる最大の原因です。日本人の死因の2割以上※1が心臓病や脳卒中などの動脈硬化性疾患であることから、その予防を目指し、『動脈硬化性疾患予防ガイドライン2022年版』(日本動脈硬化学会)において、脂質異常症の診断基準に新たに非空腹時(食後)の中性脂肪の基準値が設定されました(次項参照)。
※1厚生労働省「令和3年度人口動態統計」

脂質異常症とは

脂質異常症は、血液中の脂質であるLDLコレステロール、中性脂肪、Non-HDLコレステロールのいずれかが基準値より高い状態か、HDLコレステロールが基準値より低い状態で診断される病気です(下表参照)。
血液中の脂質と脂質異常症の診断基準
(赤字が2022年度版より改訂された部分)
脂質の種類 働き 脂質異常症の診断基準※2
LDLコレステロール 「悪玉」と呼ばれ、全身へコレステロールを運びます。増えすぎると血管壁に沈着し、動脈硬化を引き起こします。 140mg/dL以上
HDLコレステロール 「善玉」と呼ばれ、余ったコレステロールを回収し、動脈硬化を防ぐ働きをします。 40mg/dL未満
中性脂肪 増えすぎるとLDLコレステロールが増え、HDLコレステロールが減りやすいことがわかっています。 空腹時150mg/dL以上
非空腹時175mg/dL以上
Non-HDLコレステロール 「総悪玉」といわれ、LDLコレステロールの値だけでなく、動脈硬化を引き起こすすべての「悪玉」の量を表す値です。 170mg/dL以上
※2『動脈硬化性疾患予防ガイドライン2022年版』(日本動脈硬化学会)

■食後高脂血症の危険性と検査

食後、血液中の中性脂肪が異常に増えることを「食後高脂血症」といいます。脂質異常症と同様に、食後高脂血症になっても自覚症状がないため、知らないうちに動脈硬化が進んでしまう危険が高くなる病気です。
食後高脂血症では、時間が経過しても中性脂肪の分解がスムーズに進まず、中性脂肪の塊が血液中に長くとどまります。長くとどまると、この塊が血管壁に入り込みやすく、「プラーク(コレステロールや中性脂肪によってできた塊)」をつくり、動脈硬化を進めてしまいます。
特定健診をはじめとした一般的な健診で調べるのは空腹時の中性脂肪の値なので、食後高脂血症かどうかは健診ではわかりません。
食後高脂血症は、空腹時の中性脂肪値が高い人、肥満、メタボリックシンドロームや糖尿病の人などに起こりやすいことがわかっています。これらに該当している人、また健診で中性脂肪の値が上昇傾向にある人は、早期発見、早期治療のために、医療機関で食後の中性脂肪値を調べることをおすすめします。

■食後高脂血症を防ぐ生活習慣改善のヒント

肥満(内臓脂肪の蓄積)になると、脂肪細胞から分泌される物質が、脂質の代謝を乱し、食後の中性脂肪の分解も進まなくなります。そのため、食後高脂血症の予防、改善には、脂質異常症の予防、改善と同様に食べ過ぎや運動不足などの生活を見直し、メタボ対策を行うことが重要です。以下のヒントを参考に、生活習慣を改善しましょう。

●食事のヒント

食事は1日3食、規則正しく食べるとともに、献立は栄養バランスよくとるように心がけましょう。「主食」(ごはん、パン、めん類などの炭水化物)、「主菜」(魚や肉、卵、大豆製品などのたんぱく質)、「副菜」(野菜、きのこ、いも、海藻を使ったビタミン、ミネラル、食物繊維を多く含んだ料理)をそろえると、自然に栄養バランスが整います。その他以下のオススメを参考にしてください。
オススメ
  • 動物性脂肪(バター、ラード、脂身など)、鶏卵、清涼飲料や菓子などの砂糖や果糖を含む加工食品、アルコール飲料を控える。
  • 魚、大豆・大豆製品、緑黄色野菜を含めた野菜、海藻・きのこ・こんにゃくを積極的にとる。
  • パン、シリアル、パスタなどの精製した穀物を減らして、未精製穀物や雑穀・麦を増やす。
  • 甘味の少ない果物と乳製品を適度にとる。
  • 減塩して薄味にする。
日本動脈硬化学会「The Japan Diet食生活を見直しましょう」を参考に作成

●運動のヒント

日常生活の中で今より1日10分多く動くことを習慣にしましょう。
オススメ
  • エレベーターではなくなるべく階段を使う。
  • 買い物などは車ではなく徒歩・自転車で。
  • 荷物運びなどの雑用は人任せにせず、自分でおこなう。
  • 週末は家でゴロゴロするのではなく、子どもと遊んだり体を動かす。
  • 昼休み・仕事の合間のちょっとした時間でウォーキングをする。少し遠いお店までランチに行く。
  • 移動の際は少し早い時間に出て目的地まで歩いたり、1つ手前のバス停で降りて歩く。
  • 休日は美術館めぐり、本屋めぐり、カフェめぐりなど、自分の趣味をともなうウォーキングをする。
日本動脈硬化学会では、動脈硬化の予防に役立つ食事をまとめた冊子「The Japan Diet 食生活を見直しましょう」を公開しています。
こちらも参考にして、食後高脂血症、ひいては動脈硬化を防ぎましょう。

<参考資料>
「健康生活にシフト」東京法規出版
「健康にいいのはどっち」東京法規出版

 
 
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