4月から今年度の特定健診が始まりました。現在、コロナ禍による健診受診控えが起こっていますが、受診しないことによって病気につながる異常の発見が遅れるデメリットは見過ごせません。今回は、コロナ禍でも必ず受診してほしい特定健診についてご紹介します。
■健康長寿をかなえる「特定健診」
特定健診(特定健康診査)は、働き盛りに増えてくる内臓脂肪の蓄積(メタボリックシンドローム、通称メタボ)に着目した、40~74歳の人を対象とした健診です。
せっかく健診のお知らせが来たのに、「忙しいから/面倒だから/太っていないから」などと言って、健診を受けないままでいると、自覚症状のないまま動脈硬化が進行し(次項を参照)、将来の大病や要介護状態を招くおそれがあります。
特定健診の目的は、“病気の芽”であるメタボを早期に発見し、未然に生活習慣病を予防して健康寿命を延ばすことです。人生100年時代を健康に過ごすために、年に1回、必ず特定健診を受けることが重要です。
■動脈硬化を招く「メタボ」とは
メタボは、内臓脂肪が過剰にたまり、高血圧、高血糖、脂質異常を招いた状態です。一つひとつの異常は軽度でも、重なることで血管の老化である動脈硬化が進み、心臓病や脳卒中といった生活習慣病の発症率が高まります。
生活習慣病の多くは自覚症状がないまま進行するため、気づいたときには重症化していることも。自覚症状がない病気を早期に発見するには、特定健診による定期的なチェックが欠かせません。
動脈硬化の進行 |
生活習慣病の発症・進行 |
血管の壁がだんだん厚くなり、潜在的な血管の老化がはじまります |
不健康な生活習慣が積み重なる ●身体活動不足 ●食べすぎ ●飲みすぎ ●喫煙 など
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血管が弾力性を失い傷つきはじめます |
体に異常があらわれてくる【メタボリックシンドローム】 ●肥満(内臓脂肪の蓄積) ●高血圧 ●高血糖 ●脂質異常 など
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血管がもろく硬くなり、内腔が狭まってきます |
生活習慣病の発症 ●肥満症 ●高血圧症 ●糖尿病 ●脂質異常症
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血管がつまったり破れたりして病気を発症します |
重症化・合併症の発症 ●心臓病 ●脳卒中 ●糖尿病の合併症 など
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■それって勘違いかも? 特定健診の“よくある誤解”を解消!
もしかしたら、特定健診について以下のような誤解をしていませんか? 以下の1~6の誤解を解消しましょう。
誤解1 通院中だから受けなくてもいい
治療中の病気の検査と特定健診では、検査項目が異なる場合があります。かかりつけ医と相談の上、積極的に特定健診を受けてください。
誤解2 去年受けたから受けなくてもいい
健診は毎年受診し続けることで将来の危険が予測しやすくなります。毎年受けることで、体の経年変化が確認でき、生活習慣を改善するなどより細やかな早めの対応につながります。
誤解3 太ってもいないし、どこも悪くないから受けなくていい
太っていなくても高血圧、高血糖、脂質異常などさまざまな異常が隠れている場合があります。さらに生活習慣病、動脈硬化は自覚症状がないため、特定健診による定期的なチェックが必要です。
誤解4 健診結果が怖いから受けたくない
健診結果で生活習慣病のリスクがあった人には、「特定保健指導」が行われます。特定保健指導は、保健師、管理栄養士などが、あなたの健康を守るための生活改善の方法を一緒に考えサポートしてくれるもの。一人で頑張る必要はありません。あなたの健康サポーターと力を合わせて健康な体を手に入れましょう。
誤解5 時間がかかるから受けたくない
病気になると通院にお金も時間もかかります。一方、特定健診は年に1回、半日程度。病気を予防できるため、医療費の節約もできます。また、生活習慣病の発症を防げれば、長く働き続けることができて、収入も安定します。
誤解6 コロナ禍だから感染予防のために受けない
メタボに関係する因子「肥満」「高血糖」「高血圧」「脂質異常」「喫煙」などは新型コロナの重症化因子と重なります。特定健診を受けることは、新型コロナから身を守ることにもつながります。
また、健診会場では、新型コロナ感染拡大予防ガイドライン※に基づき、換気や消毒、「密」の回避などの感染予防対策をしているので、安心して受診してください。
※健診関連8団体「健康診断実施時における新型コロナウイルス感染症対策について」
■健診をきっかけに健康生活にチェンジ!
「健診を受けただけ」では病気を予防できません。「健診は受けた後が大切」です。 まず健診結果の結果通知書は毎年保管しておきます。次に、過去の数値との変化を観察してみましょう。たとえ数値が基準範囲内であっても、以前と比べて上昇したり、低下したりしているときは注意が必要です。
異常のあった検査項目と、改善のヒント
検査項目 |
注意すべき 病気 |
改善のヒント |
血圧 |
高血圧症 |
・減塩、減酒を心がける ・運動習慣をつける ・家庭血圧をはかる など |
血糖 (糖代謝) |
糖尿病 |
・朝食を食べる(食事を抜かない) ・野菜のおかずから食べる ・間食、アルコールを控える など |
脂質 |
脂質異常症 |
・揚げ物などの脂っこい食事を減らす ・肉より魚を食べる回数を増やす など |
肝機能 |
脂肪肝 肝臓病 |
・食べすぎない、飲みすぎない ・(飲酒者は)休肝日を作る ・肝炎ウイルス検査を受ける など |
腎機能 |
腎機能障害 |
・血圧、血糖、脂質を適正に保つ ・水分を十分にとる ・疲労を避け、睡眠を十分にとる など |
特定健診受診の流れなどは、以下のページからご確認ください。 国保Q&A 特定健診・特定保健指導 特定健診から特定保健指導までの流れ
特定健診で病気の芽を摘み取って、健康な人生を長く楽しみましょう!
<参考資料> 「健診結果で今の段階を知り、健康な体を取り戻しましょう!」東京法規出版 「かしこく生かそう 健診結果」東京法規出版 厚生労働省「e-ヘルスネット」
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