ビタミン、ミネラル、食物繊維などの豊富な栄養素を含み、生活習慣病(循環器疾患、がんなど)を防いでくれる野菜や果物。しかし、全世代で野菜・果物の摂取量は不足しています。今回は野菜・果物のもつ力と上手にとるコツなどについてご紹介します。
■ 野菜・果物の偉大なパワー
悪い生活習慣によって活性酸素が過剰な状態になると、LDL(悪玉)コレステロールが酸化LDLに姿を変えて血管壁に入り込み、血管を狭くして動脈硬化を起こします。 野菜や果物に含まれる抗酸化物質(ビタミンA・C、βカロテン)は、活性酸素を消滅させ、LDLの酸化を防いでくれる偉大なパワーを持っています。 また、食物繊維は、糖やコレステロールの吸収を緩やかにして、食後の血糖値や血中脂質の上昇を抑え、動脈硬化を防ぎます。さらに、大腸まで届いてビフィズス菌などの善玉菌のエサとなって腸内環境を整え、便秘の予防・改善、免疫力の向上にも役立ちます。
<生活習慣病の予防に役立つ栄養素>
豊富な食物繊維が食べすぎを防ぐ |
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肥満症の予防に役立つ |
食物繊維の働きで、食後の血糖値の急上昇を抑える |
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糖尿病の予防に役立つ |
含まれているカリウムによって、塩分の排出を促す |
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高血圧症の予防に役立つ |
食物繊維によってコレステロールの吸収を抑える |
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脂質異常症の予防に役立つ |
■ 野菜・果物の摂取量が不足している現代人
1日に必要な野菜・果物の目標量は、野菜350g、果物200gです(※1)。しかし現状では、野菜は1日に約70g、果物は約100g不足しています。1日350g野菜をとっている人の割合は60歳未満では3割に達していません(※2)。今だけでなく将来の健康のためにも、野菜・果物をしっかりとりましょう。
■ 目指せ、野菜350g、果物200g! 野菜・果物をたくさん食べるコツ
野菜・果物をしっかりとるためには、「量を把握すること」と「上手にとる方法を知ること」が大切です。
1.100gの目安を知っておきましょう
野菜・果物の重さの目安を知って、普段の食事でどれくらいの野菜・果物をとっているのか、どれくらい不足しているのかを知りましょう。目安を知っていれば、不足していた場合、どれくらい加えたらいいのか調整することができます。
<野菜・果物100gの目安>(※3)
野菜 |
果物 |
きゅうり 1本 |
みかん 1個 |
にんじん 中1/2本 |
りんご 1/2個 |
レタス 中1/2 |
ぶどう 1/2房 |
トマト 中1個 |
かき 1個 |
小松菜 中2株 |
なし 1/2個 |
ブロッコリー1/2株 |
もも 1個 |
※野菜料理なら小鉢で5皿程度で350gになります
2.野菜・果物を上手にとるコツ
簡単に野菜・果物をとるコツを紹介します。気負わず普段の食事に取り入れていきましょう。
【野菜をとるコツ】
- 朝食用のサラダや野菜ジュースを前夜に用意しておく
- 手軽に使えるカット野菜や冷凍野菜をストックしておく
- 炒めたり煮たりする。かさが減るので、生野菜の3~5倍食べられる
- 間食やお酒のつまみにスティック野菜を食べる
- 丼ものには野菜サラダをプラスする
- 外食するときは、野菜が多くとれるメニューを選ぶ、コンビニではサラダや野菜のお惣菜を1品つける
- 何種類かのドレッシングを用意しておき、味に変化をつける
- みそ汁に野菜を数種類入れて具だくさんにする
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【果物をとるコツ】
- 間食にはお菓子より果物を選ぶ
- サラダに入れる、スムージーにする
- ヨーグルトなどにあわせる
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あなたの健康生活を守る野菜・果物を、毎日の食事でしっかりとっていきましょう!
- ※1:
- 厚生労働省「健康日本21(第二次)」、厚生労働省・農林水産省「食事バランスガイド」
- ※2:
- 厚生労働省「令和元年 国民健康・栄養調査」
- ※3:
- 農林水産省「食事バランスガイド」
<参考資料> 「健康生活にシフト!」東京法規出版 「野菜をもっと食べよう」東京法規出版
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