毎日の生活で酷使されている足。ご自身の足が、今どのような状況か把握していますか?
特に足指や足爪は、日常生活を送るために大事な働きをしています。ここに痛み、腫れなどのトラブルがあると、立ったり歩くことがおっくうになり、それが次第に閉じこもった生活、動かない生活につながっていく危険もあるのです。高齢になるにつれ足指や足爪のトラブルも増えていきますので、健康なうちから足指と足爪のケアを毎日の習慣にしましょう。
■ 大切な足指や足爪
日本の高齢者の少なくとも半数以上が、足になんらかの問題を抱えているといわれています※1。足指や足爪にトラブルがあると、靴を履くことが苦痛になり、外出も減りがちです。またそのような生活がフレイル(加齢により心身の機能が衰えた状態)へとつながり、健康寿命(健康で自立した期間)を短くしてしまいます。そうならないために、足指と足爪のトラブルにいち早く気づき、また予防・解消できるようなケアを習慣づけることが大事です。
※1西田佳世:健康な高齢者のフットケアに関する実態調査.日医看協会誌.2008(17);44-51
■ 足指、足爪のおもなトラブル
トラブルを見つけたら、自己判断・自己処置はせず、皮膚科などの専門医を受診しましょう。
水虫、爪水虫 |
白癬(はくせん)菌の感染によっておこる皮膚炎で、足部では、「足白癬(水虫)」、「爪白癬(爪水虫)」が有名です。かゆみを伴わないものもあります。 |
タコ、ウオノメ |
「タコ」は皮膚の表面が硬くなったもの、「ウオノメ」は角質層が硬く厚くなり、その膨らみの中央に硬い芯をもつものです。ウオノメは軽く触れるだけでも痛みを伴います。 |
外反母趾 |
足指や足爪は靴などで負荷がかかりやすく、足の形に合わない靴を履き続けると、足指の関節に負担がかかり変形してしまいます。立ったり歩いたりすることが困難になったり、転倒の原因にもなります。 |
形、爪質などの異常 |
爪が丸く巻いてしまい、両側の先が皮膚に食い込んで炎症を起こす「巻き爪」、また、爪が大きくなったり、厚く硬くなり変形、混濁した状態になる「厚硬爪(こうこうそう)」などのトラブルがあります。 |
かかとの角化、亀裂 |
足は体重がかかり摩擦も起きるため、角質層が肌を守ろうとして角質が厚くなります。これを放置すると亀裂が生じ、痛みを伴うようになります。 |
糖尿病の人は、足の異変に注意!
糖尿病になると、足に異変があっても痛みなど感じにくくなりますが、たとえ小さな傷でも足指の切断など大きなトラブルを引き起こす恐れがあります。異変を感じたら必ず専門医の診断を受けるようにしましょう。
■ 毎日の習慣に! 自宅でできるフットケア
健康な足と足爪を保つために、毎日のフットケアを次の順番で実践してみましょう。
1.入浴、足浴で血流改善
入浴、もしくは足浴で足を温めます。足浴の場合は、バケツや洗面器に足首までつかるくらいの深さまで36~39℃の湯をはり、5分ほどお湯に足を浸してください。温まることで血行障害による足のむくみの解消にもつながります。また入浴、足浴後の方が爪が柔らかくなるので、硬い爪も切りやすくなります。
2.石鹸で足を丁寧に洗おう
よく泡立てた石鹸で洗います。足の裏だけでなく指の間もしっかり開いて洗いましょう。毎日洗うことで水虫の予防になります。
3.角質は擦りすぎない
角質除去に使う軽石は、目が粗く皮膚へのダメージが大きくなります。市販の「角質ファイル」は目が細かくお勧めです。擦る方向は往復ではなく、一方向に擦ってください。擦りすぎないよう10秒程度で終わりにしましょう。
4.爪は少しずつ、優しく切ろう
爪切りは、なるべく切る刃の部分が直線状になっているものを選びましょう。湾曲しているものだと爪が丸く切れ深爪になりやすく、巻き爪などの原因になることがあります。爪の長さの目安は、足の指の先に平らなものを当てた時、爪が当たらないくらいです。一気にバチンと切るのではなく、下図の「スクエアカットオフ」の形になるよう少しずつ優しく切っていきましょう。
爪が厚くて切りづらい場合は、爪やすりを使ってください。擦る方向は往復ではなく、体の外側へ一方向にやすりをかけるようにしましょう。少しずつ、継続的にケアしてくださいね。
5.足をよく観察しながらスキンケアを
仕上げとして、足に傷やトラブルがないかを観察し、保湿剤を使ったスキンケアをしましょう。足浴、入浴後15分以内、皮膚の水分が蒸発する前にスキンケアを行うことで表皮に十分な水分量を保ち、保湿効果を高めることができます。
保湿剤には、さまざまな種類がありますので、季節や皮膚の状況によって選んでください。ただし、足指の間は湿気がたまりやすいため、保湿剤は塗らないようにしましょう。
■ 毎日のフットケアで健康な足に!
毎日のフットケアを通して、足を観察する習慣をつけましょう。足の異変にいち早く気づくことができ、トラブルを事前に予防できます。ご自身の足の健康を守り、歩く機能を維持しましょう。
参考資料:
一般社団法人日本フットケア・足病医学会ホームページ
宮川晴妃編著「写真とイラストでよくわかる!メディカルフットケア実践マニュアル」東京法規出版
フットケアのあり方に関する研究委員会編「自宅でできる足と爪のケア」東京法規出版
|