新型コロナウイルス感染症予防のために、外出や運動を控える傾向にあります。また在宅ワークやオンライン授業などを継続している方も多くいるため、専門家の間では、年齢を問わずエコノミークラス症候群が心配されています。今回は、エコノミークラス症候群について取り上げ、日常生活でできる予防策をご紹介します。
■ エコノミークラス症候群とは
エコノミークラス症候群とは、『深部静脈肺血栓塞栓症』または『肺塞栓症』といい、水分や食事を十分に摂らずに、同じ姿勢で長時間座っている場合などに起こります。同じ姿勢のまま足を動かさずにいると、血行不良が起こり、血液が固まりやすくなります。その結果、血の固まりの一部が肺に流れて、血管に詰まってしまうのです。外出せず家にこもりがちでずっと座ったままでいると、エコノミークラス症候群と同様のことが起こりやすくなります。
■ 具体的な症状は…
初期症状は、太ももからひざ下の脚の皮膚が赤くなったり、腫れたり痛みが出たりします。このような症状が出たら、急いで医療機関を受診する必要があります。足にできた血の塊が肺に詰まると胸痛、呼吸困難、失神等を引き起こし、大変危険な状況になります。
■ 特に注意が必要な方
次のような危険因子を持っている方は注意が必要です。
- 高齢者
- 下肢静脈瘤
- 下肢の手術
- 骨折等のけが
- 悪性腫瘍
- 過去に深部静脈血栓症、心筋梗塞、脳梗塞等を起こした事がある
- 肥満
- 経口避妊薬(ピル)を使用
- 妊娠中または出産直後
- 生活習慣病(糖尿病、高血圧、高脂血症等)がある
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■ 予防のための6つのポイント
- ときどき、軽い体操やストレッチ運動を行う
- 十分にこまめに水分を取る
- アルコールを控える。できれば禁煙する
- ゆったりとした服装をし、ベルトをきつく締めない
- かかとの上げ下ろし運動をしたりふくらはぎを軽くもんだりする
- 眠るときは足をあげる
■ 足の運動が効果的
- ①足の指でグーを作り、ひらく
- ②足を上下につま先立ちする
- ③つま先を引き上げる
- ④ひざを両手で抱え、足の力を抜いて足首を回す
- ⑤ふくらはぎを軽くもむ
エコノミークラス症候群は誰でもかかる可能性がありますが、予防することができます。気づいたときにこまめに運動をするようにしましょう。
参考資料:
「エコノミークラス症候群の予防のために」厚生労働省
厚生労働省厚生労働科学研究事業「難治性疾患克服研究」血液凝固異常症研究班
「深部静脈血栓症/肺塞栓症(いわゆるエコノミークラス症候群)について」厚生労働省
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