高齢になると、食べ物が飲み込みにくくなったり、唾液の分泌が悪くなったりと、口の機能が低下しがちです。しかし、歯や口の健康は、全身の健康にも大きく影響することがわかってきており、ケアの重要性が指摘されています。6月4日~10日は歯と口の健康週間です。あなたの歯と口の健康をチェックしましょう!
■ 口の衰えが全身の衰えにつながる
「オーラルフレイル」という言葉を聞いたことがありますか? 「オーラルフレイル」とは、“口の機能が衰えた状態”のことを言います。しかも最近では、「オーラルフレイル」をきっかけに、“心身の機能が衰えた状態(フレイル)”、さらにはそれが、介護が必要な生活へのきっかけにつながる可能性があると言われており、注意が必要です。
■ 最近、気になる症状はありませんか?
「オーラルフレイル」かどうかは、自分でもチェックができます(表1)。まずはご自身の口の状態をチェックしてみましょう。
点数が3点以上になった人は要注意! ただし、「オーラルフレイル」は改善が可能なので、次に示すことを参考にしながら、対策をはじめましょう。
○表1 「オーラルフレイル」セルフチェック表
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質問項目 |
はい |
いいえ |
1 |
半年前と比べて、かたい物が食べにくくなった |
2点 |
0点 |
2 |
お茶や汁物でむせることがある |
2点 |
0点 |
3 |
義歯(入れ歯)を入れている |
2点 |
0点 |
4 |
口の渇きが気になる |
1点 |
0点 |
5 |
半年前と比べて、外出が少なくなった |
1点 |
0点 |
6 |
さきイカ・たくあんくらいのかたさの食べ物をかむことができる |
0点 |
1点 |
7 |
1日2回以上、歯をみがく |
0点 |
1点 |
8 |
1年に1回以上、歯医者さんに行く |
0点 |
1点 |
合計点数 |
0~2点 |
オーラルフレイルの危険性は低い |
3点 |
オーラルフレイルの危険性あり |
4点以上 |
オーラルフレイルの危険性が高い |
資料:日本歯科医師会「オーラルフレイル 当てはまるものはありますか?」(2018年)
■ セルフケア&プロケアで「オーラルフレイル」を予防しよう!
「オーラルフレイル」は、自分で行うセルフケアと、歯医者さんによるプロフェッショナルケアで予防ができます。特にセルフケアは、毎日の積み重ねが大切です。まずは、日々のお口のケアから見直してみましょう。
<自分でできるセルフケア>
○ 丁寧な歯みがきで、口の中をキレイに
歯みがきは毎食後が基本です。歯周病菌や、むし歯菌などの細菌のかたまりであるプラーク(歯垢)を取り除き、口の中をキレイに保つことが、「オーラルフレイル」予防のための第一歩です。
○ 入れ歯でかむ力を保とう
歯を失ってしまったときは、歯医者さんで入れ歯をつくり、かむ力を低下させないようにしましょう。その後は、入れ歯のケアも怠らずに。毎食後のケアが理想ですが、難しい場合には、寝る前に自分の歯と一緒に、入れ歯も丁寧に磨きましょう。
○ 簡単体操で口周りの筋肉を保とう
かむ力や飲み込む力(のどの筋力)を保つことは、「オーラルフレイル」の予防につながります。かむ・飲み込む力をつける体操(表2)があるので、食事前のちょっとした時間に行いましょう。
○表2 かむ力・飲み込む力をつける体操
①口を閉じたまま、ほおをふくらませたり、すぼめたりする |
②口を大きく開けて、舌を出したり、引っ込めたりする |
③舌を出して、上下左右に動かす |
④口を閉じて、口の中で舌を上下左右に動かす |
<かかりつけの「歯医者さん」によるケア>
○ 定期的に「歯科健診」を受けよう
「食べにくい」「飲み込みにくい」といった「オーラルフレイル」の症状は、自分でも気づかないうちに進行してしまいます。定期的に「歯科健診」を受け、歯医者さんに口の状態をチェックしてもらいましょう。
■ 健康寿命を延ばそう
厚生労働省や日本歯科医師会は、自分の歯を80歳で20本以上維持しようという「8020(ハチマルニイマル)運動」を提唱しており、現在半分以上の人が達成していることがわかっています※。歯や口の機能を保つことは、健康寿命を延ばすうえで欠かせません。お口を元気に保ち、あなたも健康長寿を目指しましょう。
※厚生労働省「平成28年歯科疾患実態調査結果の概要」
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