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2020年1月のトピックス みんなで取り組もう、高血圧対策

写真2019年4月、高血圧の管理と治療の指針となる「高血圧治療ガイドライン」が改訂されました。高血圧は日本人の死因の上位を占める脳卒中や心臓病など、重大な病気の発症を引き起こす危険性を高めるだけでなく、要介護の大きな原因にもなっています。今回は、改訂されたガイドラインを解説するとともに、普段から行える高血圧対策について紹介します。

■ すべての人に必要な高血圧対策

日本には現在、高血圧の人が約4,300万人いるとされ、そのうち高血圧を自ら認識していない人は約1,400万人と推計されています。高血圧は“サイレントキラー(静かな殺し屋)”とも呼ばれ、自覚症状がない一方で放っておくと命に関わる病気を引き起こします。

高血圧の人は、重大な病気の発症を未然に防ぐため、生活習慣の改善や場合によっては薬による治療が必要です。また、たとえ高血圧でない人も、普段から規則正しい生活を心がけ、高血圧にならないよう気をつけることが大切です。

■ ガイドラインの改訂ポイント①
<血圧分類が変わり、血圧が“高め”の人にも注意喚起>

血圧は、上の血圧(収縮期血圧)と下の血圧(拡張期血圧)で示されます。「上の血圧が140mmHg以上、下の血圧が90mmHg以上」の場合、高血圧と診断されますが、この診断基準に関しては、前回のガイドラインと変わっていません。

一方、血圧分類といって、ガイドラインでは、血圧の値によって「正常血圧」から最も危険度が高い「Ⅲ度高血圧」にまで細かく分類されています(図1)。今回の改訂では、この血圧分類の中でも、とくに“高血圧になる前の分類”が変わり、高血圧と診断されていないものの、血圧が“高め”の「正常高値血圧」「高値血圧」の人に対しても注意を呼びかけ、生活習慣を改善して「正常血圧」に近づけることを促しています(図1)。

これは、「正常高値血圧」や「高値血圧」の人では、「正常血圧」の人と比べて脳卒中や心臓病を発症する危険性が高く、また、将来「高血圧」になってしまう可能性が高いことが明らかになってきたためです。

 医療機関で測る「診察室血圧」の値

○図1 血圧分類

血圧分類

■ ガイドラインの改訂ポイント②
<降圧目標値がより厳しく>

また、今回のガイドラインでは、高血圧と診断された人が、治療によって下げるべき値となる「降圧目標値」が10mmHg引き下げられるなど、より厳しくなりました(表1)。

改訂の背景として、脳卒中や心臓病などの病気の発症を未然に防ぐという点で、血圧値を目標値の「130/80mmHg未満」まで下げたほうが、よりメリットが大きいことが研究結果からわかってきたためです。ただし高齢者では、他に病気を持っている人も多く、患者さんごとに状況は異なるため、降圧に際しては慎重に行う必要があるとしています。

○表1 降圧目標値

年齢区分 診察室血圧(mmHg)
75歳未満の場合 130未満で80未満
75歳以上の場合 140未満で90未満

※「高血圧」と診断された人が対象。

※糖尿病や慢性腎臓病などがある場合には、個々に応じた降圧目標値が定められている。

■ 生活習慣の改善で、降圧目標達成を目指そう!

高血圧と診断された場合、まずは生活習慣の改善を行います。生活習慣を見直すことによって、降圧効果が期待されるためです。もし、それでも血圧が十分に下がらない場合や、糖尿病など他に疾患を持っているようなリスクの高い人には、薬による治療も行い、目標値を目指します。

また、たとえ高血圧と診断されなくても、高血圧を予防するという点で生活習慣の改善は重要です。とくに血圧値が“高め”だった人は、今日から生活習慣を見直しましょう。

<高血圧対策のアクションプラン>

〇減塩しよう

日本人の食塩摂取量は多く、高血圧の大きな要因の1つです。加工食品を控える、いつもの食品を減塩食品に置き換えるなど、普段の食生活を見直しましょう。

○肥満を解消しよう

肥満の人は体重を3%減らすだけで血圧を下げることができます。肥満度を示す指標であるBMI〔 計算式:体重kg/(身長m)2 〕が、25未満になるよう気をつけましょう。

○身体活動を増やそう

有酸素運動を行うことで血圧を下げることができます。できれば毎日30分、少し速めに歩く、軽くジョギングするなど定期的に体を動かすようにしましょう。

〇お酒はほどほどに

お酒の飲みすぎは、血圧上昇に影響します。お酒を飲む場合には、男性では、日本酒なら1合まで、ビールなら中ビン1本まで、ウィスキーならダブル1杯までとし、女性はその半分に節酒することが勧められます。

〇睡眠を十分とる

睡眠不足は、交感神経の働きを活発化させ、血圧上昇につながります。日中の疲れがとれるよう、睡眠をしっかりとりましょう。また、ストレスがあると血圧上昇にもつながることがわかっています。リラックスした時間を意識して作るなど、自分でストレス解消法を見つけて、高血圧にならないよう気をつけましょう。

■ 高血圧対策は、国全体で取り組む課題

高血圧対策は、健康寿命の延伸だけでなく、国の医療・介護費削減の観点からも、国全体で取り組む課題といえます。高血圧の人も、そうでない人も、生活習慣を見直し、高血圧の治療・予防に努めましょう。

<参考資料>
日本高血圧学会高血圧治療ガイドライン作成委員会『高血圧治療ガイドライン2019』日本高血圧学会

 
 
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