環境や生活の変化が「五月病」を引き起こすことがあります。放っておくと、気分の落ち込みや抑うつ、食欲不振など心身に不調が表れ、うつ病に移行する危険があるので注意が必要です。今回は、五月病の早期解消に役立つ方法を解説します。
■ 五月病とは?
連休が終わるころ、体調の異変を感じたり、何となく無気力になる「五月病」。医学的な病名ではなく、明確な診断基準はありません。元々は新入社員や大学の新入生が新しい環境に適応できないことなどから5月頃に陥る意欲低下を表す造語でしたが、部署移動などで環境がかわる中高年の人にもみられるようになっています。
おもな原因はストレスや疲労で、症状は精神的なものから肉体的なものまで多岐にわたります。多くの場合、早く気づいて適切に対処すれば受診の必要はありません。しかし、「気分の落ち込み(抑うつ気分)」と「何事にも興味が持てず、楽しいはずのことが楽しめない(興味・喜びの喪失)」のうちどちらか1つでも、多少の波はあっても2週間以上続くようなら、うつ病にまで悪化しているおそれがあり、医療機関(心療内科や精神科)を受診することが大切です。
〇うつ病が疑われる9つの症状
以下の症状が1日中かつ2週間以上続く場合は要注意!
どちらか一方または両方
- □ 気分の落ち込み(抑うつ気分)
- □ 何事にも興味が持てず、楽しいはずのことが楽しめない(興味・喜びの喪失)
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+
次のうち5つ以上
- □ よく眠れない
- □ 食欲の変化
- □ 疲れやすい
- □ 自分を責める
- □ 思考力、集中力の低下
- □ 生きていてもしかたないと思う
- □ 動作や、話したり考えたりするのがゆっくりになっている
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- 出典:
- WHO World Health Report Published February.2009
(一財)日本健康生活推進協会・編「日本健康マスター検定 公式テキスト」(2018年)
■ 五月病を予防するには?
五月病を予防するにはストレスや疲労をためないことが大切です。疲労回復を心がけ、自分に合ったストレス解消法を見つけましょう。
1)自分だけの時間をつくる
ストレスの背景には、対人関係の悩みがあることが多いものです。対人関係がうまくいかず、過度なストレスがたまると、心の健康に影響が及びます。その結果、対人関係がさらに悪化するという悪循環に陥ることもあります。そこで、おススメは「自分の時間を持つこと」。趣味の時間をつくる、1人で旅行するなど、ストレスの原因となる人間関係からいったん離れてみると、気分転換になります。
2)体のリズムを整える
睡眠の質や時間が心身に影響することが、さまざまな研究によって明らかになっています。休日もある程度決まった時間に起き、深夜まで活動したり、就寝前にデジタル機器に触れることはできるだけ避けましょう。
3)運動をする
体を動かすことは、心の健康にもよい影響を与えます。強いストレスを感じていると、体も緊張して硬くなってしまいます。ストレッチや筋弛緩法(※1)で筋肉を緩めて体の緊張を解くと、心もリラックスします。また、余暇時間に好きな運動を楽しめば、気分をリフレッシュできます。ウォーキングや筋トレ、水泳、ヨガなど、自分に合った運動を見つけて習慣にしましょう。
4)3度の食事を大切にする
心身の健康の維持には、1日3食、栄養バランスのとれた食事が欠かせません。食事のリズムが整うと、日中の活動や睡眠リズムも自然と整い、ストレス管理に役立ちます。とくに朝食を食べている人はイライラしにくく、ストレスが少ない傾向にあることがわかっています(※2)。
5)誰かに悩みを話す
自分の気持ちや悩みを友人や家族、心の専門家などに話すことで、自分では気づかない問題解決の糸口が見つかることも少なくありません。ひとりで抱え込まないようにしましょう!
自分のストレスや疲労に早めに「気づいて」、早めに「対処する」ことが五月病予防・対策のコツです。また、あなたの周囲に五月病かも? と感じる人がいたら、「元気がないみたいだけど、大丈夫?」と声をかけて、話を聞いてあげましょう。みんなで五月病やうつ病を防ぐことも大切なことですね。
<参考情報>
- ※1:
- 「心と筋肉の緊張をほぐす“筋弛緩法”」(公財)パブリックヘルスリサーチセンター
- ※2:
- 「朝食を食べる習慣は、心の健康と関係しています」農林水産省
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