日本の慢性腎臓病(CKD)患者は成人の約8人に1人と推測され(※)、国民病とされている高血圧や糖尿病に加え、「新たな国民病」とまでいわれています。最近では、CKDが心臓病や脳卒中などの重大な病気を引き起こすこともわかってきました。今回は、CKDの原因と予防法を解説します。
※日本腎臓学会編「CKD診療ガイド2012」
■ 慢性腎臓病(CKD)ってどんな病気?
CKDとは、腎機能の低下が続く状態のことをいいます。放っておくと腎不全になり、最終的には透析療法や腎移植を受けなくてはならなくなる場合があります。腎臓は私たちの健康を支える大切な臓器ですが、一度悪くなってしまうと、元に戻ることができません。
○ 腎臓の主な働き
尿をつくる
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ホルモンなどをつくる |
- 水分や電解質のバランスを一定に保つ
- 血圧の調節
- 赤血球をつくる指令を出す
- 骨をつくる(ビタミンDの活性化)
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■ CKDが危険なわけ
CKDによって腎機能が低下すると、血圧が上がり動脈硬化が起こりやすくなります。このため、CKDの人はそうでない人に比べて、命にかかわる心臓病や脳卒中など合併症の発症率が飛躍的に上がってしまいます。CKD患者は、腎不全に移行するよりも、合併症により死亡する危険の方が高いといわれています。
■ 健診でCKDを早期に発見!
CKDは自覚症状なく進行するため、早期発見のためには、定期的に健康診断などで尿検査や血液検査を受けることがとても大切です。
特に重要なのが尿検査で、尿中にたんぱくが出ていたら、血液検査でクレアチニンを調べ、クレアチニン値から計算されるeGFR(推算糸球体ろ過量)を調べます。
○ CKDを見つける検査
尿たんぱく |
腎臓が正常ならほとんど出ない
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クレアチニン |
腎臓が正常なら尿に出るが、腎臓の働きが低下すると、血液中にとどまる量が増える
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eGFR |
GFRは腎臓が老廃物を排泄する能力を示す値。eGFRは、クレアチニンの値から年齢、性別を加味した計算式でGFRを推算した値
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■ 腎臓を守る生活習慣を知ろう!
高血圧、糖尿病などの生活習慣病は、CKDの危険因子です。とくに、メタボは動脈硬化を急速に進めるために、腎機能を低下させます。
○ CKDを防ぐ6つのポイント
① 食べすぎない
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肥満はCKDの大きな要因
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② 体を動かす |
今より1日10分多く体を動かそう |
③ ストレスをためない |
自分なりのリラックス法を見つけ、ストレスは早めに解消 |
④ しっかり睡眠をとる |
睡眠中には、体の健康を守るさまざまな働きが行われている |
⑤ 禁煙する |
喫煙は血管を収縮させ、血圧を上昇させる
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⑥アルコールは適量を |
日本酒に換算して1合、ビールなら中ビン1本を目安に |
食べすぎや運動不足などの不摂生な生活習慣を見直し、よい生活習慣を心がけて、CKDをしっかり予防しましょう!
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